第18話 決意の証
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━玲香と別れたあと湊月は暗闇の中を歩いていた。そこは、自分の作った影の中。湊月はそこで1日の振り返りや、傷の回復を行う。そして、それと同時進行である場所へと向かった。
それは、湊月が着い何日か前まで通っていた高校だ。そして、その高校には湊月の弱点がある。湊月はその弱点を潰しに来たのだ。
「……ここだよな。ここが俺の人生の分岐点」
湊月はそう言って高校の中へ侵入する。そして、誰にも気が付かれないように自身の体に影を纏わせた。そして、暗い影の中に溶け込んでいく。
湊月は影の中の入ると、かなり速いスピードで校舎を駆け巡る。そして、かつて湊月がいたクラスの真下についた。湊月はそこからクラスを眺めて思考を読む。すると、どうやらまだシャドウの正体が湊月だということに気が付いてなかったらしい。少し不思議には感じているみたいだがな。
湊月はそれから学校中の人間の思考を読む。どうやらまだ誰も湊月の正体に気がついてなく、誰も話してないらしい。そして、あの事件以降この学校の日本人は全員殺されたみたいだ。
「……ゴミが。全員殺してやるよ」
湊月はそう言って影の中から外に出る。その場所はかつて湊月がいたクラスの中。そのクラスにいたものは突如目の前に昨日から騒がれているシャドウが現れて慌てふためいた。
「皆さん、ごきげんよう」
「「「っ⁉︎」」」
湊月のその言葉でクラスの全員は慌てふためき湊月から離れた。そして、大きな声でなぜここにいる⁉︎とか、何しに来た⁉︎とか言う。
「死ねよ!お前のせいで世界はめちゃくちゃなんだよ!」
クラスの1人がそう言って襲いかかってきた。しかし、湊月はその男を避ける。すると、男は勢い余って壁に激突した。さらに、湊月は後ろからその男の頭を蹴り、壁に押し付け潰した。そのせいで壁にべっとりと血がつく。
湊月はその光景を見てニヤリと笑った。すると、クラスの全員がその恐怖に泣き叫ぶ。さらに、何人かは恐怖で頭が壊れてしまい、ガタガタと震えながら呪文のようなものを呟く。
湊月はその光景を見て高々と声を上げて笑う。そして、急に静かな声になって言った。
「……はぁ、お前らもフォース持ちならもう少し戦う意志を見せろよ。何で日本人はこんな雑魚ばっかりの奴らに負けたんだろうな。もういいよ。お前らの顔は見飽きたから。“
湊月はそう言って黒い玉を作り出す。すると、その黒い玉はとてつもない引力を放ち出した。そして、凄まじい勢いで教室を飲み込んでいく。
当然教室にいた者は皆叫び声を上げながら吸い込まれていく。
「きゃあああ!死にたくない!死にたくない!」
「お前!貴族の俺達にこんなことしていいと思うのか!?」
「やだぁぁぁぁぁぁぁ!助けてぇぇぇぇぇぇ!」
そんな叫び声を上げながら黒い玉の中に吸い込まれていく。そして、その場にいた全員が吸い込まれ死んでしまった。
湊月はその光景を目にしてとてつもなく幸福感に襲われる。そして、これまでこんなに笑ったことがないと言わんばかりにニヤリと恐怖に満ちた笑みを浮かべた。
そして、その黒い玉が大きくなっていくのを見つめる。
湊月は学校の外に出ると、逃げ出すものが居ないか全方位を見張った。当然逃げ出すものは直々に殺す。すると、やはりと言わんばかりか、何人か逃げ出していた。湊月はその人達の前に立って剣で心臓を貫く。
湊月はその瞬間も幸福に満ち溢れていた。
「死ね……死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……ムスペルヘイムども、全員死ねよ」
そして、そうつぶやくと、黒い玉がついに学校を飲み込んだ。そのせいで学校にいた人は全員死ぬ。
断末魔も大量に聞けた。それだけで幸福な気持ちになる。
湊月はそれを見届けると黒い玉を消した。すると、さっきまで存在していた学校が無くなる。
「雑魚どもが。こんなのしか居ないムスペルヘイムは一瞬で消してやるよ」
湊月はそう呟いて周りを見渡した。さすがにこれだけ騒ぎを起こせば軍がこっちに向かってきているようだ。
湊月はすぐにその場から離れようとする。
「おっと、その前にこいつらを消しておかないとな」
そう言って目の前にいる逃げようとしたヤツらを全員消した。そして、影の中へ入っていく。
その数分後に軍が到着した。しかし、そこにはもうシャドウは居ない。そこに残ったのは、何も無くなったグラウンドだけだった。
「一体何があった……それに、目的は……」
ムスペルヘイムの軍はそう言って当たりを調べる。しかし、どうせ何も無いんだ。いくら人が来たところで何も起こらない。
すると、そこに三空が来た。どうやら特部も呼ばれたらしい。
「はぁ〜、なんでこんなめんどくさいことをしなきゃならないの〜?」
「そんな事言わないでやりますよ。調査を命じられたのですから」
「そう言われてもねぇ〜。ま、こう言うのは面白い研究材料になるからねぇ〜。ちゃっちゃと終わらせよう」
「はいはい。じゃあ皆やって!」
そう言って軍は変な機会を使用して調査を始める。三空はその姿を見ながら少し暗い顔をした。そして、その隣で日彩も暗い顔をする。
「三空、分かっているよな?」
「えぇ。分かってる」
「俺の友達のいた学校だ。なぜここが狙われたのかは分からない。だが、今はそれより湊月を探さなければならない」
「そうね。あなたの友達だものね。それに、私もシャドウを倒さないといけないわ」
2人はそう言って何も無くなった校舎を見つめる。そして、日彩は振り返ってアポロンを見た。
「シャドウ……湊月を殺したことを僕は許さないよ」
そう呟いてカルムとリリムがいる場所へと戻った。
そして湊月は、影の中を移動して玲香のいる場所へと戻る。その道中でシェイドが話しかけてきた。
「ねぇ、湊月。本当に良かったの?思い出の場所だったんじゃないの?」
「なわけないだろ。これは全てケジメだ。ムスペルヘイムを潰すための覚悟だ。それに、俺は決めたんだ。ムスペルヘイムという国を潰すのは既に決めていたことだ。だが、こんなにも愚かでクズな人達がこの世界を牛耳っていると思うと反吐が出てしまう。だからさ、俺はムスペルヘイムの人々を皆殺しにする。例え仲間になりたくともいずれは殺す。それが俺のやるべき事だ」
「……分かったよ。僕はどんな事があっても湊月を助ける」
「そうしてくれるとありがたい。それに、俺はお前がいなくなってしまえば何をしでかすか分からないからな。何かあったら俺のフォースを取り返せ。俺が暴走してもだ。そしたらお前が俺を助けてくれ。もしくは、殺してくれ」
湊月はそう言ってシェイドの方を向いて悲しい目をした。湊月はその目を見て強く頷くと、湊月の胸に手をグーにしてトンっと当てた。
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