能力者が現れたと思ったらダンジョンも出てきました。これは・・・・・・商機ですね!

辻智晴

第1部

第1話 プロローグ

 朝日の昇る早朝に息を切らせて新聞配達をする勤労青年がいた。


 何故少年で無いかというと18歳を一昨日、迎えて成人になったからである!


 自転車で走る新聞配達車独特のシルエットに哀愁漂う姿であった。


「止めい!いらんモノローグを語るな。アカシャ!」


『そうは言っても暇なんだもん』


「暇だからって人をおちょくるな!」


『人というかあなたは私だし、私はあなたなのに』


「1週間前に突然現れてはいそうですかと納得出来るか!

 そうであってもおもちゃにされるわれはないぞ!」


『あのさ、声に出さなくても心の中で話せばお互い聞こえるんだから声に出さない方が良いよ。変な人に見られるよ?』


――うがー!腹立つなぁ。本当にもう!


 こんな日々が始まったのは1週間前の出来事からだった。


-1週間前-


 あの日はごく普通の日だった。


 少なくとも世界中に『あ!やべ!』と言う声が誰もの頭の中に響いた以外は、それまでごく普通の日常だった。


 『あ!やべ!』という声が聞こえた時は誰もが”何だ?””聞こえた?””あ!やべ!っていうの聞こえた?”という声でいっぱいだった。


 全校生徒が体育館に集められて先生方が声について確認を取っていると、誰かが”ステータスが見える”と言い始めた。


  ”え!そんなの見えないよ””あれ、俺見えるぞ””何も見えないぞ”等々見える見えないで騒ぎ出した。


 おれはステータスとでも言えば良いのかと心の中で思った瞬間、ステータスが見えた。


名前:七市伸幸ななしのぶゆき

年齢:17歳

レベル:0

総合力:肥満貧弱

スキル:-

ユニークスキル:禁忌図書館アカシックレコード


 禁忌図書館アカシックレコードそれを認識した瞬間、頭が割れる様に痛み出した。


 痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!


 鼻から血を流して倒れる。痛みの中で俺の意識はなくなっていった。


 目を覚ますとそこは見知らぬ場所だ。部屋の要のも見えるし外のようにも見える何とも言い様がない場所だ。


 何処だここは?そう思いながら周りを見回すと声をかけられた。


「痛い痛いとうめいていたが痛みはもう大丈夫かい?」


「あなたは?」


「管理者だ。何を管理しているのかというと世界達を管理している」


「世界達?」


「そこにある球体達を見てごらん」


 言われた様に指し示された球体を見ると、ほんの10ページ程を挟んで球体同士がぶつかるのを防いでいた。


「その球体一つ一つが世界なんだけど、操作をミスって危うく世界同士がぶつかりかけてね。そうなったら始末書所かどうなっていたか考えたくもないよ」


「あ! もしかして『あ!やべ!』って声はあなたじゃ?」


「あ~、何というか、僕だね。それは」


「もしかしてぶつかりかけてる世界の片方は俺が住んでいる世界なんじゃ!?」


管理者は大量の汗をかきだした。


「そうなんだ。それで世界同士を間一髪で挟んでいるのが”アカシックレコード”の数十ページなんだ」


「それって俺のステータスの禁忌図書館アカシックレコードと関係あるよね?」


「どれどれ。あ~、これかぁ。それで君はアカシックレコードと繋がってしまったからここにいるんだね」


「これって切り離せないんでしょうか?」


「無理だねぇ。こんなにハッキリと出ているんじゃどうやっても無理だね」


「俺、この禁忌図書館アカシックレコードを見た瞬間に物凄く頭が痛くて気を失ったんですが大丈夫ですか?」


「・・・・・・がんばれ?」


「何をがんばるんですか!死にたくないです! 何とかして下さい!」


 俺は必死で頼み込んだ。管理者は顔から滝の様な汗を流して考え込んでいる。


 その間に俺はアカシックレコードを何とかしようと触ったら怒られた。


「何とかって言われても・・・・・・そうだ!イマジナリーフレンドと言う言葉は知っているかい?」


「空想の友達と会話したり遊んだりする奴ですよね」


「それだ。禁忌図書館アカシックレコードと君の間にフィルターをかける様にイマジナリーフレンドのアニマ・アニムス版・・・・・・君の場合は男だからアニマ版を作って君の脳を慣れるまで保護する方法があるよ!」


「それって日常生活に支障が出るんじゃ?」


「出るかもしれないけど、死ぬよりはマシでしょ。それに慣れだよ慣れ」


「それはそうですけど・・・・・・ええい! 死ぬよりマシだ! やって下さい!」


「ほいほい。これで大丈夫だと思うけど、世界のあいだにアカシックレコードのページが挟まっているなら応急処置にしかならないんだよね。しかも、あれは放っておく訳にはいけないから」


「ならどうするんです」


「ダンジョンって知ってるかい。そのダンジョンはここだと丁度挟まってるアカシックレコードのページとほぼ同じくらいだから少しずつ入れ替えていくしかないね。ダンジョンだと世界にダンジョンは出来るけど異世界に同士の交流の妨げになるし」


「どうしてダンジョンが異世界同士の交流の妨げになるんですか?」


「それは世界と世界の間にダンジョンの紙が挟まっているんだから、異世界に行くとしたらダンジョンを通っていくしかなくなるのさ」


「そうなんだ。そのダンジョンってスタンピードとか発生しない?」


「発生はするけど、この程度のモンスターなら平気だろ?」


そう言って見せたのはドラゴンだった!


「無理!倒せる人が居ないよ! モニターか何かで世界の人達に調整させてから入れ替えた方が良いよ。行き成りドラゴンじゃなくて最弱種から始めないと!」


「そうかい?でも入れ替えてもダンジョンの調整は出来るからこのまま進めたいし、スキルを与えたからいけると思ったんだけど・・・・・・モニターねぇ。そうだ!

君もこの衝突しそうになってる世界の人だったよね!」


「そうですけど・・・・・・まさか!」


「君、モニターになってくれないかい!」


「いやですよ。おれに務まるとは思えません。直ぐに死んじゃいます!」


「そこはモニターだから死んでも入り口で生き返る様にするから!」


「バイトに忙しくてやってる暇がありませんし!」


「ダンジョンの中に入っている間は外部の時間がほぼ停止している様な状態にするから!それにモニターをしてくれたらモニターの時の肉体と道具類を持ち越せる様にするし死んでも荷物や武具とかもそのままで復活する様にするからお願い!じゃないと未調整のダンジョンでスタンピードで全滅するかもしれないよ!」


「うう! 卑怯な! 分かりました!やります。だけどこれは貸しにしておきます!」


「借りておくよ! それじゃ君の中のアニマをフィルターにするね。それとこの鍵を渡しておくよ。この鍵でダンジョンに行きたいと願えば行ける様になってるから!」


「分かりました。鍵を貰っておきます。それとフィルターをお願い致します」


「フィルター設置後に君はここから元の世界に戻ると思うけど夢じゃないから気を付けてね! それじゃ!」


 そういって管理人は俺の頭を触ると何かしたのだった。


 目が覚めると保健室だった。丁度、保険医の先生が居たのでどのくらい眠っていたのか聞いてみる。すると1時間ぐらいだそうだ。


 あの後の事を聞いてみたら、運動場で炎を出す馬鹿は居るわ、校長のハゲを治して感謝される女子生徒は居るわで大変だったらしい。


 今日と明日は休校だそうだ。保険医は用事があるので席を外すけど、居ない時に帰る様なら鍵を閉めて職員室に持って行く様に言われた。


 一人になって暫くすると頭の中に声が聞こえてきた。


『聞こえる、私?』


「・・・・・・何だ。もしかしてアニマか?」


『そう! アニマよ! 良かった、繋がって!』


「て事は、さっきのは夢じゃなかったのか!」


『夢じゃないわよ。それよりも私の名前を付けてくれない?』


「アニマじゃないのか?」


『それって種族名みたいなものでしょう。私だけの名前を付けてちょうだい』


「じゃぁ、アカシックレコード繋がりでアカシャで!」


『OK! 私の名前はアカシャよ!!」


そう言ってアカシャは喜んでいる様だった。


『それじゃ、そろそろダンジョン行ってみる?』


「武器も防具もなくて行けるか!」


『それもそうね』


「それに、俺はこれからバイトがある!」


 そう言って保健室から出て職員室に向かうのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――

もし、出来ましたら目次の下の方にある評価の方をよろしくお願いします。

何かお気に召さないと言うかたは★☆☆を、少しでも気になるという方や普通だなと言うかたは★★☆を。何か気に入ったや続きが気になるという方は★★★を付けて下されば幸いです。

♡で応援するでも良いのでよろしくお願いします。


拙い出来ですが旧作も読んで頂ければ幸いです。


異世界に行ったので早く日本に帰りたい!

https://kakuyomu.jp/works/16817330656928083143

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