隣の席の日渡さんが肩トントンほっぺツンしてくる件

輝星悠斗

第1話 肩トントンほっぺツン

高校2年生の月崎颯太は、教室の窓際の席に座って、教科書を開いた。放課後だったが、彼は部活にもサークルにも入っていなかった。だから、毎日勉強することにしていた。それが彼の日課だった。


彼は勉強が嫌いではなかった。むしろ、好きだった。勉強することで、自分の知らない世界に触れることができたからだ。彼は常に新しい知識を求めていた。それが彼の楽しみだった。


しかし、彼は勉強が得意ではなかった。むしろ、苦手だった。どんなに努力しても、成績は平凡だった。彼は常に自分の限界を感じていた。それが彼の悩みだった。


そんな彼にとって、隣の席の日渡美咲は別世界の存在だった。彼女は美人で成績も良くてスポーツ万能な女子生徒だった。クラスではみんなに慕われていた。彼女は常に自信に満ち溢れていた。それが彼女の魅力だった。


月崎颯太は、日渡美咲にひそかに憧れていた。彼女の笑顔や仕草や声に心を奪われていた。彼女のことを考えると胸が高鳴ってしまっていた。彼女に対する気持ちは恋心だった。


しかし、月崎颯太は、日渡美咲に告白することはなかった。彼女はクラスの人気者で、自分とは違う世界の人だと思っていたからだ。彼は自分に自信がなかった。


そんなある日、月崎颯太の平凡な日常は一変した。


「おーい、月崎くん」


教室のドアが開いて、明るい声が聞こえてきた。月崎颯太は顔を上げて見ると、そこには日渡美咲が立っていた。


「あ……」


月崎颯太は驚いて言葉を失った。日渡美咲と話すことなんて滅多になかったからだ。しかも、今日は放課後で他の生徒もほとんどいなかった。二人きりだった。


「何か用ですか?」


月崎颯太は緊張しながら尋ねた。


「なんでもないよ。気にしないで勉強してて。」


日渡美咲はそう言って少し笑顔を見せつつ自分を気にしないように気遣った。


「なんなんだろう…」


月崎颯太は心の中でこう思った。


日渡美咲が笑顔で月崎颯太の後ろに近づいてきて彼の肩をトントンと叩いた。月崎颯太が振り向いた瞬間に日渡美咲は彼のほっぺにツンと人差し指を当てた。その瞬間、月崎颯太は電気が走ったように感じた。


「え?」


月崎颯太は呆然とした。日渡美咲は何をしに来たのだろうか?彼女の行動に意味はあるのだろうか?彼は全く分からなかった。


それが、彼と彼女の物語の始まりだった。

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隣の席の日渡さんが肩トントンほっぺツンしてくる件 輝星悠斗 @kiseiyuuto

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