記憶無しの転生メイド
@huru0502
第1話 リリー
不思議と涙が溢れてくる。
何年も昔に覚悟していたのに、何で今更‥
「およそ十年前、この王国ルピセナ帝国には、悪い王様と、暴君の皇太子様、狂ったお姫様がいました。しかし下町に潜んでいた英雄ギルバード様が悪い皇族を倒して国をルーシャミ王国改め、ルピセナ王国を平和にし新しい王様になりました。なので、この帝国はきっとずーっと平和が続くことでしょう。」
パタン‥
(‥狂ったお姫様か。私も昔言われてたっけな)
私には前世の記憶がある。あるって言っても少しだけ言葉とか常識とか知識とか。生きていく上で必要な記憶?だけ残ってる。だから、今まで孤児院でテストがあった時はいつも首席だったことと、院長が公爵家と親しい中て言うか遠い親戚だったこともあって、王城で働けることになったらしい。と今日知らせがはいった。まあ今まで色々お世話になったし、前世の記憶を全部取り戻せたらなという淡い期待もあって受けることにした。
「リリー準備はできたかしら?行くわよ〜」
この人はジョブス。オネエ風の院長先生。公爵の遠い親戚で一番世話になっている人だ。
「うん、わかった。今行くー」
「本当に大丈夫なの?今からでも断っていいのよ」
心配そうな顔でジョブス先生が顔を覗き込んできた。
「大丈夫、大丈夫、正直すんごい楽しみなんだから。」
私がそう答えるとジョブス先生はリリーもそんなに大きくなったのかと嬉しそうな顔で呟いた。
「これからあそこで働くのか〜」
私は窓の外に見える華やかな城を遠目で見ながら階段を下りた。
「リリーちょっといい?」
「なーにこれ?」
ジョブス先生の手には桜色に光る珠が埋め込まれたペンダントがあった。
「これはね、あるお方が最期にくださった物よ‥」
ジョブス先生は今まで見たことがないくらい悔しそうな目をしながら話してくれた。元々ジョブス先生はある方の護衛をしていたそうだ。その方とは、優しくおとなしいけれど陽気で勇敢な人だったらしい。だったというのはその方はもう若くして亡くなったそうだ。しかも濡れ衣を着され殺された。最後の方ではジョブス先生の目には光るものがあった。
(ジョブス先生にそんな過去があったなんて)
数分後
私は孤児院のみんなに見送られながら門の外にでた。王城までは、約1時間
。昔、孤児院で一緒だったジルに教えてもらった近道を行きながら進んだ。今ジルは子供のいない農家に引き取られ畑仕事などをしながら楽しんでるらしい。時々手紙もらう。私は森を抜けて商店街を散歩がてら王城に向かった。門の前では優しそうな感じの人が立っていた。
「待っていましたよ。あなたが今日から城で働いてもらう、リリーさんですね。」
「はっはい。」
「私は、マリー・シュミレット。シュミレット伯爵家の次女マリーよ。よろしく。」
「あー、よろしくお願いします。」
(あれ?伯爵家?次女‥ってお貴族様ーーー!)
「すっすみません!シュミレット様。」
「ふふっ。そんなに固くならなくて大丈夫よ。
」
「私のことは、マリ姉って呼んでちょうだい。城を案内するわ。」
私は、マリ姉に言われるがまま王城を探索した。マリ姉は、新しい帝王のメイドになってから半年でメイド長になったらしい。すごい。しばらく城の中を回っていると1人の青年が声をかけてきた。
「よう、マリ姉。新人か?それと少し老けたな。」
(えっ何言ってるの?)
「あんたこそ小物感が増してまるで赤ん坊みたい。」
(マリ姉⁉︎)
「ちっまりババアめ。」
そういうとその青年は悔しそうに去っていった。
(あっ嵐みたいな人だった。仮にもメイド長をババアよわばり‥)
「あいつのことは気にしなくていいわ。まあ、あなたもそんなにかしこまらないで。」
「はっはい、ありがとう‥ございます、」
その後は、色々な書類にサインを押したり、自己紹介などをしたりで忙しかった。
そして‥‥念願の部屋と飯。
ここにくる前、ジョブス先生に聞いておいたのだ。部屋は2人部屋で、ご飯は、ここの王城の見習いシェフが振る舞ってくれるみたい。
(よーし、最初は部屋だぞ!一緒になる人優しかったらいいな。)
コンコン‥
「はぁーい、誰ですかぁー。」
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