平成ネット史外伝~ワープロ専用機

藤堂俊介

はじめに

 二一世紀も二十年以上経過した。情報通信技術が発達し、ワープロ専用機を初めて手にした一九八〇年代当時からは想像だにしない便利さになった。


 かな漢字変換、今では当たり前になっている技術。誰でも一人一台は持っている通信端末に必ず入っている。そのかな漢字変換が入った電子機器であるワープロ専用機は、一九八〇年代後半、小型化し一般でも手に届くようになった。ワープロ専用機自体は一九七八年に商品化されはしたが個人では到底買えない価格だった。


 一九八五年に前後、小型化し十万円切る価格で登場し、乾電池を電源とし、容易に持ち運びでき、いつでもどこでも文章をタイピングできるようになった。ひらがなを入力し変換キーを押すと即座に単語が候補として現れる。紙を入れ印字キーを押すときれいな文字が好きなだけ作れた。この感動と衝撃は、スマートフォンで様々できる以上だった。


 紙と筆記具それに消しゴムや修正液での手書きや、五十音順に並んだ漢字文字盤から一つずつ選んでタイプしていく和文タイプライタの効率は良いとは言い難かった。ワープロ専用機の登場は書く作業を機械化し飛躍的に効率が上がった。


 そのワープロ専用機も二一世紀を跨ぐ直前に商品として製造終了し、パソコン、そして、タブレット端末やスマートフォンに形を変えた。ワープロ専用機の心臓部かな漢字変換は、電子機器に入っている。ゲーム専用機にも、テレビにも入っている。


 ワープロ専用機が消えて、二十余年。存在自体を知らない世代も出てきた。インターネットのコンピュータ博物館にワープロ専用機の項目が作られてはいる以外に、体系的に資料収集や研究した書の記憶は薄い。


 実機が動作しなくなっても、説明書や製品または別売品カタログなどがあれば後に研究したい場合でも役立つ。ただし、何らかの対策を施さないと散逸し、歴史に埋もれるおそれもある。


 ここでは実際に使ってきた体験、手元に残っている資料から平成ネット史外伝を綴っていきたい。なお、平成ネット史は、平成から令和に改元されるころNHKEテレで放送された番組である。

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