記録係
昔から記録係に憧れていたが、探偵の友人も知人もいなかったから自分で探偵もやることにした。推理小説を読みあさりナゾトレ本を解きまくりサスペンスドラマを頭痛と吐き気がするまで視聴した。様々なジャンルの勉強をしているうちに三十種類の資格と検定に合格した。その甲斐あってか少しずつ依頼が舞い込み、ほとんどすべてを満足いく形で解決することができた。その記録は短編集として出版され、読者からは探偵宛てにファンレターが届くこともある。
肝心の探偵は極度の人嫌いの引きこもりで絶対に人前に姿を現さないという設定にした。ただ一人私とだけスマホで連絡を取り合い情報を得て事件を解決する、いわゆる安楽椅子探偵だ。急を要する場面では、私は探偵とスマホで会話する演技をしなければならない。一度などは絶海の孤島で殺人事件が起きたのだが電波が一切届かず、「いつもの探偵の助けが借りられないため窮地に立たされ、苦しみながらもなんとか自分の推理を絞り出して事件を解決に導く記録係」を演じなくてはいけなくて大変な思いをした。
そういった苦労もあるが、私はこの仕事が何より気に入っている。
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