食卓

 細長い、どこまでも続くテーブルの両脇に正装した紳士淑女が座っている。

 テーブルには真っ白なクロスが掛けられ、パンとスープとヨーグルトとワイングラスが人数分並んでいる。

 質素な食卓を照らしているのは天井から下がった丸いランプで、暗い部屋のなか白い光が街灯のようにまっすぐ浮かんでいる。

 テーブルの上を誰かが歩いてくる。

 白いドレスを着た一人の女だ。

 柔らかくたくし上げられた裾を覆うレースが後方へとなびいている。

 黒いエナメルのピンヒールは食器もクロスも乱すことなく進んでいく。

 女が前を通ると、人々は糸が切れたように突っ伏すか、椅子にもたれてしまう。

 若いタキシードの男はやってくる女を鋭く睨みつけている。

 女が目の前を通っても、男は両肘をついてしばらく抗っていたが、やがて眠りに落ちるように崩れて動かなくなる。

 食卓はまだまだ続いている。

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