▼【第三十四話】 待つのは辛い。
遥さんは本当の私を見てから、と、言った。
僕はどんな遥さんでも受け入れられる自身はある。
確かに、遥さんは最初から自分は酷い女と言っていた。僕の想像もできないほどの。
だから、僕に覚悟がいるんだろうか?
覚悟を決めると言っても、僕にはどうしたらいいか、わからない。
本当の彼女というものを、僕はなにも想像できない。
どんな覚悟がいるんだろうか。
それでも彼女の方からキスまでしてくれた。
遥さんにしてみれば、あいさつのような物だったかもしれないが、僕にとってはあれがファーストキスだった。
嬉しくないわけがない。
けど、彼女の不安そうな顔は忘れられない。あの表情が僕も不安にさせる。
しかも、彼女からの連絡はまだない。
僕からレインを送っても、既読は付くけど遥さんが返事が返ってくることはない。
それとなく平坂さんに聞いたら、難しい顔をして、今は大人しく待ってて、と言われた。
やはり事情を何か知っているようだ。
家に一人でいると、とてつもなく不安になる。
ゲームもやめた今、僕は本当にやることがない。なにもない。
だからだろうか、余計にいろんなことをどうしても考えてしまう。良いことも悪いことも。
ただ永遠とスマホを握りしめ、遥さんの連絡を心待ちにしている。
そんな日々を送る。
どれくらいの日数が経っただろうか。凄い日数が経過してしまったかと思った。
けど、カレンダーで確認すると、まだ一週間も経っていない。
ただ待つのは辛い。
まるで暗闇の中にいるようだ。
待つのがこんなに辛いなんて思いもしなかった。
ただ、会えない日々が僕の想いをどんどん強く大きくしていく。
僕自身がその重さに押しつぶされそうになるくらい。
もちろん、会おうと思えば会社のロビーに彼女は居る事だろう。
けど、そこで会ってしまうのは何か違う気がする。
彼女が、必ず連絡をくれると言ったんだ、それを僕は待つしかない。
ただ、やっぱり待つのは辛い。僕の頭の中はもう彼女の事しかない。
なぜ彼女をここまで好きになってしまったのか、その理由は今でもわからないし、知ってもどうしようもない。
もうこの気持ちは止められない。
それくらい僕の中でこの気持ちはどうしょうもないくらい育ってしまっている。
彼女がいなければ僕はただ真っ暗闇の中にいるだけだ。
ここには何もない。
そんなのはもう嫌だ。
彼女ぬくもりを、匂いを、笑顔を、知ってしまった、そのすべてが愛おしい。
決して失いたくない。
失ってはいけない。
今はもうスマホを片時も離せない。
彼女からの連絡をただ待つだけだ。
今、僕にできるのはそれだけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます