水星よりも愛してる
Aotani
幼い頃からよく人に好意を向けられた。数えきれない人と恋愛をして、数えきれない人を泣かせて、数えきれない人にぶたれた。
だから、誰よりも恋愛の「酸い」だけは理解してるつもりだった。
ほんの少し前、自分を大変好いてくれている人に、
「どこまで好きなのか」
を、聞いたんだ。そいつは少しばかり変わったやつで
「お前が望むなら、水星くらいは壊せるよ」
そう言っていた。俺はそいつが水星をどれほど大切に思っているかも、この世から水星が消え失せた時の影響も分からないのに。それを分かっててこう喩えたんだ。でも厄介なことに、そいつの綺麗すぎる顔の所為なのか、将又、ただの杞憂なのか。言葉には謎の説得力があった。
俺に好意を寄せるくらいなら、その容貌を有効活用してナンパでもして来たら良かろうに。趣味が悪いのか救えないほど馬鹿なのか。
本当に、顔は良いな。この男。
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