少年クラブ
小深純平
第1話
僕が小学5年の時、僕の家族は関東平野のT村に住んでいた。父がその村の役場に勤めていたからである、
その村は広大な森が東側に広がっていた、歩いて森を抜けるには1時間くらいかかった。森の中は小さな沼が点在したり、鬱蒼としたり明るくなったりと森の木々が変化して不気味な雰囲気を醸し出していた。子供1人で森を抜けることなど到底できないし、森に遊びに行くときは友達と何人かで出かけていった。森の中の沼やその周辺にはいろいろと言い伝えがあり思い出すたびに背筋がぞっとしていた。その中で僕は現実的な恐怖話にも特に興味があった。森を東に抜けたところにQ村という村がありそこにはトンプクと言われている怖いガキ大将がいるという評判だった。トンプクに会うと身ぐるみ剝がされてしまうということだった。さて、僕は恐いもの見たさで一度トンプクを見てみたいとも思っていた。
夏休みも終わりに近づき、僕は宿題をたくさん残しながらも毎日毎日近所の友達と遊び呆けていた。午前中、近所の同級生の昇とその弟の茂の家に遊びに行った。
ベーゴマをやろうと思じ同級生の武夫も誘って兄弟の家を訪れた、兄弟の家には
樽に帆布を張ったベーゴマを回す床がいつも用意されていてすぐに始められた、茂が真っ先に回すと武夫が続いた、ぼくもすかさず茂の駒を狙い撃ちしながら回すと茂の駒は床からはじき出された、僕は茂に「いただき」といい、駒をもらった。すかさず、茂はくやしそうにぼくの駒をねらって別の駒をぶつけてきた。今度は僕の駒がはじかれた。1時間くらいベーゴマを取ったりとられたりとするうちに飽きてきた。茂がお昼すぎは「森に行かないか」と誘ってきた。全員うなずいて「じゃあ、お昼過ぎに」と。
僕はお昼ご飯を済ますと早速兄弟の家に行った。僕らはこれから探検に出かけるぞという気概で互いに持ち物の点検を始めた。手拭やビニール袋、通称小刀と呼ばれている刃渡り10センチくらいの折り畳みナイフ、とくにナイフは当時の男の子の必須アイテムでいつもポケットに持ち歩き心強い味方だった、それらを互いに確認しあうと、よし、と気合が入りすぐに出発した。
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