第3話崩壊
急いで向かっている最中、自衛隊や警察官が停止線を設置していた。
黒崎は一刻も早く母親の場所に辿り着かなければならなかったが、停止線が邪魔で通過することができなかった。
黒崎は急いで通り抜けたいがために、自衛官や警察官に向かって怒声を上げた。
「お願いだ、通してくれ!その先には母親がいるんだ」
自衛官と警察官は腕を組んで黙って首を横に振った。
しかし、黒崎以外にも停止線の向こうに進みたい人々が複数いた。
黒崎は悔しさと焦りに包まれながら、自衛隊や警察官の拒否を受けた。彼の胸には母親への強い思いが燃え上がり、止まることを許されるわけにはいかなかった。
「なぜ通してくれない! 母はあそこにいるんだ!」
黒崎は怒りに身を震わせながら、自衛官や警察官に向かってもう一度叫んだ。
しかし、通してくれる気配はなかった。諦めるしかないのかという気持ちと、母の安否がわからないままではいられないという思いが胸の中で交錯した。
その時、白い巨大な手が彼に向かって伸びてきた。
白い巨大な手が間近に迫り、手にある目が黒崎をじっと見つめていた。数秒間、時間が停止したかのような感覚が彼を包んだ。
最初は恐怖が全身を駆け巡ったが、今はなぜか救われるような気がしてきた。
しかし、白い巨大な手は自衛官や警察官、周りにいる人々を容赦なく掴み、捻り潰していった。
恐怖が再び襲いかかる。
黒崎は今しかないと悟り、停止線の向こうに駆け抜けた。
白い巨大な手は黒崎に向かって動き始めた。
逃げようとするが、空気が一層重くなり、肺が痛むような感覚が広がっていった。
苦しい… 苦しい…
息をつきながら、黒崎は口を開いた。
急いで近くの民家に身を隠すと、手は民家の玄関を突き破り、黒崎を捕まえようとしていた。しかし、玄関が破れたことでガラスの破片が手に突き刺さり、手は痛みに悶えていた。
その瞬間がチャンスだと感じた黒崎は、すかさず逃げ出し、自宅に向かって全力で走り出した。
自宅に到着すると、登校の際に目撃した黒いスーツの人物が中に入ってくるのが見えた。黒崎は直感的に火事場泥棒だと感じ、彼を追うように中に入っていった。
しかし、黒いスーツの男性はナイフを手に持っており、母親の腹部に突き刺している光景が目の前に広がった。突然の出来事に、黒崎は硬直してしまった。
黒崎は勇気を振り絞り、スーツの男性に飛びかかるが、華麗に交わされて蹴り飛ばされてしまった。
意識が薄れていく中、スーツの男性の首元にはドラゴンのタトゥーが彫られているのがかすかに見えた。
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