ソールオキデンス 日本

日常編

第1話 日常

黒崎は、平和な日常を求めていた。しかし、住宅街に広がる木々や人々などに違和感を持つようになっていった。その違和感は、理屈ではなく感覚的なものだった。

窓から鳥を眺めながら黒崎は考えていた。すると、部屋の扉が開いた。黒崎は誰だろうと思い、後ろを向くと母親だった。

母親は緊張した表情で話しかけてきた。「達也、今日は学校じゃなかったの？」と言った。

母親の「学校」という言葉で、黒崎は思い出し、身動きが止まってしまった。その理由は、時計の針が九時で止まっていたからだ。九時は、学校が既に始まっている時間帯である。

母親は話を続けた。「もう高校生なんだから遅刻なんてするんじゃないわよ」と言いながら、黒崎の肩を叩いた。

黒崎は心の奥底で、これが母との最後の会話になると感じていた。これもまた感覚的なものだった。

急いで支度をして学校に向かった黒崎。学校へ向かう途中、信号が赤になり止まっていると、黒いスーツを着た集団がセダンの周りにいた。黒崎は彼らがヤクザのようだと思いながらも、気にせずに通り過ぎたが、心の中では違和感を感じ取っていた。

学校に到着すると、既に二時間目が始まっている状況だった。黒崎は緊迫した状況に直面し、その場で立ち尽くしてしまった。

すると、まさにその時、学校の三年生のクラスが突然爆発した。爆音は街中に響き渡り、恐怖が黒崎を襲った。彼はその場で吐いてしまった。

数分後、悲鳴が響き渡り、空気は恐怖に包まれた。そして、悲鳴が収まると同時に、教室から爆発が起き、巨大な白い手が伸びてきた。手の指先には一つ一つ目玉があり、神秘的な存在としての神々しさを感じさせるものだった。

黒崎はただ立ちすくみ、困惑のままだった。この光景を理解することはできず、ただただ目の前で繰り広げられる不思議な現象に見入っていた。

「なん……だよこれ」

巨大な白い手は、爆発した教室にいた生徒たちを握りつぶし、あたかも子供が蟻の巣を弄ぶかのように容赦なく殺していく。その姿は無邪気な子供のようにも見えたが、その行為は残忍で冷酷だった。

黒崎は、逃げることを決意した。巨大な白い手は、妖艶な光を放ちながらも、深層に潜む恐怖の根源を感じさせた。彼は身の危険を感じつつも、勇気を振り絞り、全力で逃げることに決めた。

足音が響く中、黒崎は息を切らせながら街を駆け抜ける。逃げる先はどこだろう？彼は地図の中の安全な場所を探し求めたが、目の前に広がる光景はどこまでも混沌としていた。巨大な手が建物を粉々に砕き、恐怖の咆哮が空気を支配する。

汗が額から滴り落ち、黒崎の足は重くなっていく。しかし、彼は諦めることなく逃げ続けた。街角を曲がり、地下道を駆け抜ける。暗闇の中で彼は呼吸を整え、不安との闘いを続けた。