憧れの人

金沢華

第1話

羨ましかった。

私の周りを取り巻く全ての人間が、羨ましくて、妬ましかった。


愛嬌のある者、誰からも好かれる天性の才能、溢れ出る育ちの良さ、新しい環境に対する適合力、そのどれも私にはなかった。


あると言えば少し優れた容姿、ただそれだけ。


あぁ、眠くなってきた。

薬が効いて来きたんだろうか。


眠りに落ちるその瞬間、毎日思うことがある。

このまま目覚めなければ良いのに、と。

目覚めた時の言い表せない不快感。


変わり映えのない日常、何も成し遂げられないだろうという絶望感、誰にも必要とされていないだろうという寂しさ。


私には何もない。


そんなある日、ふと思った。



どうせ何もないなら、誰かを殺してみようと。

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