失った光【後編・下】


「…………だというのに、開発者たちは自分の生み出した技術に酔いしれるばかりで、自律思考を備えたあなたたちの事を下に見ています。開発に携わっていなくて、生まれたときからアンドロイドの助けありきの生活を続けてきた者たちの中にも、そのありがたみに気付ける人は……残念な事だけれど、ほとんどいないのいうのが現状です」

 

 彼女はため息をひとつ落とし、話を続けます。


 それは誰にも語ってはこなかったけれど、幼少の砌よりおぼえていた違和感ないし疑問でした。


 一つの頭に、二本ずつの手足。五本ずつついている指。

 

 人間たちがアンドロイドと呼ぶ彼らに内臓されているのが臓器ではない事は知っていましたが、シルエットはほとんど人間と変わりません。


 また、大まかに見て外見が近しいというだけでなく、生活に溶け込み、ともに過ごしてきた彼らの事をわざわざ人間より劣った存在として扱う事に、姫様は抵抗がありました。


 彼女は、自分たちが楽をするために作り出しておきながら、貢献度の事は無視して、アンドロイドというだけで見下している人たちの事があまり好きにはなれません。

 

 『人間はいつからそんなに偉くなったのか』と。


 『そんなくだらない感情に左右されて正確な判断も出来ないのなら、むしろ感情のない彼らのほうがよほど優れた存在なのではないか』とすら思っていたのです。


「それが当たり前なんですものね。仕方のない事です。その人たちを悪者扱いしたいわけでもないの。……でも、わたくしにはそれが悲しい事のように感じられました」


「どうして悲しむ事があるのですか? 『当然だから仕方がない』とご自身でもお気付きになっているのでしょう?」

 

 BKFP002はなおも疑問を呈します。

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