なんでいるの?

 私は片手にスマホを持ったまま、目を覚ました。

 ……あ、昨日、珠鈴からの返信を待っている間に、いつの間にか寝ちゃってたんだ。

 

 まぁ、いいや。それより、今何時だろ。

 目覚ましも鳴ってないから、まだ朝早い時間だと思うし、時間に余裕があったら、目覚ましが鳴るまでもう一度眠ろうと思って、スマホを見た。

 すると、珠鈴とのトークの画面が開きっぱなしだった。


【何となく、寂しい気持ちになったから?】

【璃花? 掛けていいの?】

【どうしたの?】

【ねぇ、見てるんだよね?】

【なんで無視するの?】


 パッと見ただけだけど、それ以外にも、色々とメッセージが溜まってるのが確認できた。

 ……画面を開きっぱなしで寝ちゃったから、私が既読無視してるみたいになっちゃって、珠鈴が心配になっちゃったのか。


【ごめん。寝てた】


 そう思って、私は直ぐにそう返信をした。

 すると、昨日の桜井の時みたいに、直ぐに既読がついた。

 ……珠鈴もトーク画面を開きながら、寝ちゃってたのかな?

 既読がつくのが早すぎて、私はそう思った。


【そうなんだ。良かった。今日、一緒に登校しよ?】


 全然寝てなかった。

 じゃあ普通に、たまたまか。


【別にいいけど、何処から? 場所によっては、どっちかがすごい遠回りになると思うんだけど】

【大丈夫。私が璃花の家に行くから】

【え、それじゃあ珠鈴が二度手間じゃない?】


 気持ちとしてはありがたいけど、二度手間になるのは可哀想だから、私はそう言った。

 すると、既読がつかずに、家のチャイムが鳴った。


「え」


 思わずそんな声が漏れ出た。

 珠鈴……じゃないよね? だって、家に行くって言ってたの、さっきだもんね。


「はい」


 そう思いつつ、私はベッドから起き上がって、インターホン越しにそう言った。

 

「おはよっ、璃花!」

「……おはよ」


 なんでいるの? そう思いながらも、私は無視をする訳にはいかないと思って、挨拶を返した。

 もしかして、私の家の前でメッセージでやり取りしてたの? ……そんなことってある? 


「……まだ早いし、家、入る?」

「うん。ありがと、璃花」


 そう言って、私は家に珠鈴を入れた。

 

「お邪魔します」

「ん」

「璃花、寝起きなの?」

「……まぁ」


 鏡とか見てないから分からないけど、髪とかがボサボサだったから、バレたのかな。

 そう思って、私は何となく、手をくしのようにして、髪に触れた。

 すると、寝癖がついてるのが分かった。

 これのせいか。……恥ずかしいな。


「髪、とかしてくるね」

「あ、待って」


 そう言って、私は自分の部屋に珠鈴をおいて、たしか洗面所の所においてあるくしを使うために、向かおうとしたんだけど、止められた。

 珠鈴にそう止められた事で、私は反射的に背を向けていた珠鈴の方を振り向くと、催眠術の画面があった。

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