Gate in Girl.
才木 蒼
プロローグ
2023年6月1日。航空宇宙局NAZYが緊急会見で発表した。
『この世界には、2つの世界が存在します』
突然の発表にメディアは大騒ぎし、その情報は瞬く間に世界に広まった。
会見の内容は、私たちが住む現実世界ともう一つ、2150年の電脳世界が存在するというものだった。
しかし、「どのようにして判明したのか」は極秘とされ明かされることはなかった。
あまりにも根拠のない発表に、真面目に考察をするネット民や、これまた根拠のない持論を展開する者が続々と現れた。
7月10日。
NAZYの発表には世界各国が動いた。
日本もその国の中の一つで、【もう一つの世界】を調査する研究機関が設立された。
その研究所に召集された5人の精鋭に、一人の少女が紛れ込んでいた。
「せっかくお昼食べてたのに……萎える。帰りたいいい」
召集後の顔合わせの場でそう呟き、国のお偉いさん等がいる周囲をざわつかせた少女・
黒髪のショートボブに、くりっとした目の童顔で高校の制服をこしらえた彼女は、5人の精鋭の中で断トツで浮いていた。
この子が精鋭?と言わんばかりに彼女を横目で見るほか4人の精鋭は、ぱっと見シケた面をした中年男性ばかり。
「あーあ。帰って寝たい。てかここどこ?」
彼女の緊張感のない態度に周囲は若干ピリついていた。
そんな中、アナウンスが流れる。
『精鋭の皆様、急な召集にも関わらずお集まりいただきありがとうございます。こちらは、NAZY直属の管理下にある特別研究所・FORWARD《フォワード》です』
そして、この日を境に世界は少しずつ音を立てて動き始める。
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