★第27話 夜の鮫
都会の片隅で
空き缶を蹴り上げた
苛立つ幼さを
吹き飛ばすように
この街はどこかが
捩れたユートピア
蠢く欲望が
バランスを欠いている
君のいとおしく
狂おしく
澄み切った声が
胸の中で弾け出す
じわじわと滲んでいく
ネオンをくぐり抜け
グングンと人波を泳ぐ
なかなか呼吸など
出来ないこの街で
君の声を見つけた
無機質なプライドが
全てじゃないんだと
諭して笑っている
眠らないこの気持ち
抱きしめて進むんだ
僕は今、夜の鮫
あれこれ指示を出す
コンピューターのような
コマンドがあるのなら
確かだと言えるの?
この街は何だか
色褪せたユートピア
歪んだ愛憎が
アブナイと呼んでいる
君の美しく
やるせなく
凛とした声が
胸の奥底で響いている
じわじわと滲んでいく
視界を掻き消して
夜景と君を眺めている
全然呼吸など
出来ないほど
強く
君の身体を抱いた
無機質な世界でも
君が居てくれるなら
どこまでも進めると
眠らないこの気持ち
死ぬまで続くんだ
僕は今、夜の鮫
――『夜の鮫・天野柚木也』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます