★第9話 漣《さざなみ》
コバルトの海を映すその瞳は
危うげで
波が来れば
攫われそうで
僕なんて
潮風より軽いのだろう?
塩辛い水を舐めて
地団駄を踏んだ
かもめは見ていた
浅はかな恋の
行く
波を掻き分けるよう
その肩を引き寄せたい
くっきりと
……消えないように
僕でなく
そうしたのは誰だったんだ?
堕ちていく心
素肌に刻んだ
日に焼けた恋の
行く末、知る術が「今」にはないこと
漣のように迷う小さな肩
砂を
その肩を抱きしめたい
ぽつりぽつりと
君が吐いた泡より儚い言葉が
くらりくらりと
僕を酔わす
漣
掻き消す勢いで
漣のように揺れる小さな肩
波を掻き分けるよう
その肩を引き寄せたい
漣のように迷う小さな肩
砂を軋ませるよう
その肩を抱きしめたい
――『漣・倉松紅』
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