33/星の行く末を決める者

 学問を禁止し、カルミアを失い、それでもわたしはステラを滅ぼすことができなかった。わたし自身の手でこの世界を滅ぼすことは、とてもできそうになかった。

 カルミアを失ってから、ずっと考えていたことがある。ステラをどうするべきか。ニンゲンたちをどうするべきか。

 それは、本当ならとっくの昔に決めなくてはならなかったことなのだけれど。

 それでも後回しにし続けていたこの問題の結論を、わたしは出すことにした。とは言っても、わたし自身が決定するわけではない。

 ……たった千年と少し。それだけで、わたしはボロボロに擦り切れてしまっていた。たったそれだけの年月で、わたしは世界を維持することに、ニンゲンたちを、人間たちを思いやることに限界を感じていた。

 だからもう、自分は死ぬつもりでいた。消えるつもりでいた。

 焦らずとも、どうせあいつはすぐにやって来る。破壊装置を引き連れて、何を考えることもなくこの世界を滅ぼそうとするだろう。そうしてわたしのことも殺すのだろう。

 だけど、最後の決定権はあいつらにはない。

 星の心臓を守る封印を解かなければ、結局わたしを倒すこともステラを滅ぼすこともできない。その封印を解くことも、この城から動くことのできないわたしには不可能なことだ。星教派の教会の下にある魔法陣には関与できるが、主教派の教会の下にある魔法陣にはここからでは手が出せない。

 だから、創り出した。

 わたしの分霊。わたしの端末。

 空色の髪と瞳を持った少女は、そうして生み出された。

 ステラを滅ぼすのか、それとも存続させるのか。このステラの行く末を、わたしは自身の創り出した存在に押しつけた。

 ああ、なんだ。

 予言の救世主は、滅びの魔女は、わたし自身だったのか。

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