第046話 ダウジングってすげぇ!!③
「ふぅ……さっぱりしたな」
しっかりと堪能して温泉から上がり、近くに椅子を設置して少し休憩する。
「パパ~!!」
「パパ」
「ピッ」
「うごっ!?」
ウトウトとしていると、元気な声が聞こえてきたと思えば上から凄い衝撃が落ちてきた。目を開けると、それはマヒルたちだった。
「まったくおまえたちはぁ、そういう子はこうだ!!」
俺はお返しに胸に頭をこすりつける彼女たちをくすぐってやる。
「きゃはははっ」
「うくくくくっ」
「ピピピピピッ」
三人とも俺にしがみついて楽しそうに笑う。
あぁ……自分の中の闇が全て浄化されていく。
「あぁ~、ずっるい!! 私も!!」
「ピィッ」
そこに亜理紗もお風呂から上がってきて俺たちに混ざろうとしてきた。
「いやいや、流石に無理だから」
「ちぇ~」
俺が三人をくすぐるのを止めて亜理紗を制止すると、彼女は不貞腐れたように口を尖らせる。
「これで我慢しろ」
「ふへへ、しょうがないなぁ」
三人を地面に下ろして亜理紗を撫でると、彼女はすぐに機嫌を直してくれた。
そんな亜理紗も俺の癒しだ。
「次こそきっと水が出るはずだ。三度目の正直というからな」
「そうだね」
亜理紗が満足した後、再びダウジングを再開し、辺りの水脈を探っていく。
「今度は八の字を描き出したぞ!!」
拠点から少し離れた場所で、今までとはまた別の反応。今度こそ水の反応に違いない。俺はすぐにその場所を掘り始める。
「きゅいっ?」
しかし、また何か埋まっていたらしく、スキルの力でその物体を持ち上げてもらった。
「んん? これは?」
「卵?」
そこから出てきたのはとても大きな卵型の物体。
これは博物館で見たことがある。多分卵の化石だ。これは埋蔵金とは違って特に届け出なんかは必要なかった気がする。
後で亜理紗に調べてもらおう。
「でも、これも俺の欲しい物じゃないんだよな……」
「なかなか出ないねぇ。おかしいのばっかり出てくるけど」
「だなぁ」
俺は落胆しながら、卵の化石をアイテムボックスの中に放り込もうとする。
「あれ? 中に入らないぞ?」
「え? そんなアイテム聞いたことがないんだけど」
亜理紗も困惑しながら俺の様子を見ている。
「もしかしたらゲームから現実になった時に生まれた新しいアイテムなんじゃ?」
「あぁ、それはあり得るかも」
これ以上考えても仕方ないので、テントの中に転がしておいた。
「よし、次こそは!!」
三度目の正直ではなく、二度あることは三度あるの方を体現してしまった俺。今度こそ水を掘り当てて見せると意気込んでダウジングを再開する。
「これは絶対水だろ!!」
俺がそう思ったのも当然だ。何故ならペンデュラムが水と言う文字を描いていたからだ。
――プシャーッ
今まで通りにヨルに頼むと、温泉同様に透明な液体が噴き出した。
プレイヤーの体は毒の類にも強くなっているため、穴から出てあふれ出ている水を掬って飲んでみる。
「ん、これは美味い!!」
「ホントだね!!」
これは間違いなく水だ。雑味が少なくて非常に冷たくて今の時期に最適な味わい。
亜理紗も太鼓判を押し、マヒルたちが狐形態に戻って水面に顔を付けて美味しそうに飲んでいる。ワラビモチとカシワモチも縁で体の端を水につけて多分?飲んでいる。問題なさそうだ。
こっちも川まで水路を作り、ようやく飲み水を確保することができた。
井戸というよりは泉になったけど、まぁ結果オーライだろう。
「いやぁ、本当に効果があるんだな」
「おじさんが凄いだけだと思うよ」
「ははははっ。そんなに気を遣わなくていいんだぞ」
「全然遣ってないよ」
亜理紗が無理に俺を持ち上げようとしてくる。
確かに俺は最近ツイていた。でも、それもHAPI7で使い果たしたはずだ。だから、今回凄かったのはどう考えてもあのダウジングの方だろう。
あんなに分かりやすく反応してくれる上に、凄い物ばかり掘り当てることができた。ダウジングにこれほどの効果があるとは思わなかった。
今後何か探したいものがあった時はぜひダウジングで探したいと思う。
「よし、これで第一目標である飲み水の確保は完了した。次はやっぱりアレだな」
「アレ?」
俺の言葉を聞いた亜理紗が首を捻った。
「ああ。なんだと思う? 現代人が生きていくうえで絶対必要な物だ」
「うーん。家とか?」
「惜しいが違う。正解はトイレだ」
「あぁ、確かに!!」
「体の取り込んだら出る。それはどうしようもないからな」
水を確保した俺達は排泄問題の解決に取り掛かった。
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