代行聖女(男)は勇者パーティに男バレしてはならない

聖女とは

　聖女とは神の寵愛を受けし者。

　世界の危機に遣わされる本物の神の使い。

　そんな、本来世界の危機でしか生まれない聖女を宗教的シンボルにしたい聖女教会では偽りの聖女を立てることが当然のように横行していた。

　勿論ある程度の聖女の偶像は遵守する形での偽りではある。

　聖女の条件として見目麗しい未成年の処女が良いと当時の大司教ショージョ・チューの趣味で決まった為、以降数多の聖属性持ちの美少女が聖女となってきた。

　しかし必ずしもその時代に都合好く聖属性持ちの見目麗しい未成年の処女が居るとは限らない。

　モラルが少しアレな時代に裏であっさり処女を捨てまくるビッチ聖女が続き、日替わり聖女とすら揶揄されたのは流石に問題になった。あまりのスパンの短さについに都合のいい候補が誰も居なくなった結果、当時の聖女教会大司教オト・コノコスキーは逆転の発想に至った。

　処女で聖属性で美しければもういっそ男でも良いではないか、と。

　以降、聖女教会の擁する聖女には稀に男子が交じるようになった。

　そして今代の聖女、ユール・ルールカもまた男子の身でありながら聖女とされる少年だった。