第2話 朝の影響

 学校に行くと、案の定だ。

 学生が色々とザワついている。


 呼び出しが来るかな? その時。いやだなでは無く。面倒だと思っていた。

 そう。俺は、変わり者。一般にはそう言われている。


 高校の時は、友人にディスレクシアじゃないのかと、問われた事もある。

 よく知らないが、学習障害のひとつだと言われているが、脳の働きが少し違うようで、天才に多いらしい。


 ただね。友人が言うような。学習の遅れは俺には無い。

 いや英語は除く。どうやっても、単語が覚えられず。必ず、耳の中を右から左に抜けていき、記憶野に残らない。


 そして、自分自身。どちらかと言えば、サイコパスだと自身は思っている。


 そう。興味が無い事には、とことん興味が無い。

 きっと隣の席で、同級生同士でエッチをしていても。

 俺はきっと、興味を抱かないだろう。


 いや、さすがに無理か。興味が在るものには、興味があるのだよ。


 多くのクラスメートは、人付き合いの悪い。上から目線の変な奴。そんな事を思っているだろう。

 だが違う。あくまでも、興味がとことん無いだけ。


「おう。朝からお勤めご苦労。良かったな。美人にビンタ。ご褒美じゃ無いか」

 声をかけてきたのは、悪友。親友とか言うような、あまあまな関係では無い。


「見ていたなら、助けろよ。おまえすぐ脇に居ただろう」

「逃げなきゃ。証言をしたさ。おまえ凄いスピードで逃げたよな」

「体力不足で、すぐ捕まった。学生課から弾劾が来たら、フォローしてくれ。駅でもいい加減、面倒だった」


 そういうと、にまっと笑い。手が出てくる。

「そのくらいなら良いよ。焼き肉一回くらいだな」

 当然、その手をはたきながら。承知する。

「あーまあ良いか。頼むよ。退学はごめんだ」


「それと今度。仲間内で、ゴブリンハントをしに行く。手伝ってくれ。おまえの卓越した。えげつない追い込みが必要だ。最近。高校生が拉致されたらしい」

「高校生? もったいない」


「残念。男5人だってさ」

「そりゃ。新しい世界を開いたな」

 2人とも反応は、なんてこったい状態。


「多分な。ゴブリンも、結構立派な物持っているし、なんか聞くところによると、奴らの体液を入れられると、快感が爆上がりするらしいよ」

 そう言って、ニヤニヤと笑う。


「おまえも、試すのか?」

「いや良い。俺は女の子が好きなんだ」

「奇遇だな。俺もだ」

 そう言うと、そいつ。

 中学から腐れ縁の、久瀬 悠翔(くぜ はると)が笑う。


「なんだ、おまえ。そんな事に興味あったのか?」

「そりゃ。人並みにはあるさ」

 そう答えると、本気で驚きやがった。

「へー。驚きだ。おまえとの付き合い長いけど。いやあ。びっくりだよ」

「どういう目で、俺を見ていたんだ?」

「こんな目」

「何だそりゃ」

 目尻に指を当て、思い切り下げてくる。


「おかめだな」

「ひょっとこと言って欲しい」

「それなら、目は見開かないとな」


 そんなくだらない事を言っていると、放送で呼び出される。

「誰かが、チクったな。行こうぜ」

「仕方ない。助けてやろう」


 案の定。

 学生課からの呼び出しは、痴漢えん罪の事。


 うだうだ言われて、駅に問い合わせてもらい。

 無実だと分かっても。うだうだ。


 いい加減。鬱陶しくなったので反論。

「じゃあ。電車通学を止めますから。公用車で毎日送り迎えしてください」

「そんな事は、できるわけがないじゃ無いか」

 おお良いレスポンスだ。頭の回転速いな。


「じゃあ、どうやって対処しろと。今回立っていただけで。えん罪が降ってきたんです。それも、相手の勘違い」

 そう言うと、ちょっと時間がかかる。


「そこは君。そんなことを言われないように、気を付けるのが。大人になるという事だ。自分で考えなさい」

 素早く返す。

「思いつきません。具体例を出してください」


 考えて、答えが出なかったのだろう。

「いや。それを考えろというのだよ」

 すぐ返す。

「無理です。教えてください。でなければ、アカハラで訴えます」

 すると、ビクッとする。


「いや、ちょっと君それは」

「すみません間違えました。できない事を、しろというのはパワハラでしたね。アカハラは止めて、パワハラにしましょう」


 ちょっと、赤くなって、ぷるぷるし始めた。

「もうういい。えん罪だったのは分かった。気を付けるように。以上だ」


 もう一歩。追い込む。

 どうだ、しつこいと鬱陶しいだろう。

「だからどうやって? それを示してください」


 そういうと、一瞬。口を開けたが何も言わず。

「もう話す事は無い。私は忙しい。授業に行け」

 もう一丁。言ってみる。


 後ろで、悠翔が持っている鞄から振動が伝わる。

 後ろで笑ってやがる。


「すでに、あなたのおかげで、受けるはずだった授業時間は、あと数分です」

「むっ。先生には連絡を一応入れておく。それでいいかね」

「受けていないので、内容が分かりません」

 そこで、悠翔からストップが入る。


「ちょ。改。もう帰ろうぜ」

「むー」

 強引に、外へ。悠翔に引きずって行かれた。



「だー畜生。言い分がおかしいだろう」

「そりゃそうだけどな。世の中。理不尽なものさ。おとがめ無かったし。ちょっと早めだが、食堂へ行くぞ」

「まあ良いか」

「ほら、行くぞ」

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