特務機動隊小隊長 木村正隆 (6)
「事情は中隊長より聞きました」
小隊付きの准玉葉は、俺にそう言った。
「心を鎮め、私の力を受け入れて下さい」
「はい……」
そう答えて俺はヘルメットを取る。
そして、准玉葉の指先が俺の額に触れると……。
何故、「准玉葉」と呼ばれる人々が、特務機動隊の各小隊に配属されているのか。
ある意味で、キリスト教国の軍隊の従軍牧師に近い。
ひょっとしたら……旧共産圏の政治将校のようなモノかも知れない。
彼らは……何らかの異能力を持つ人々であり、その異能力を利用して、任務時には隊員の身体能力を一時的に増幅させ、隊員が何かの
「落ち着きましたか?」
「ええ……」
「結構、これからの任務は『対象』の目的が不明です。過剰な予断や感情は禁物です」
「判りました」
「小隊長……」
その時、小隊付きの「魔法使い」である馬場が俺に声をかける。
「これを見て下さい。あの部屋に有ったものです」
馬場の手には、あの部屋の床に何枚も撒き散らされていた呪符が有った。
「この呪符は何なんだ? 危険なモノを不用意に持ち帰ったのなら、始末書じゃ済まんぞ」
「噂でしか聞いた事が無いので、実物を見るのは始めてですが……おそらくは、ここ半年ほどの間で、『外』のテロリスト達が広く使うようになった呪符です」
「おい、テロリストどもの武器か?」
「武器と言うより……防具です。元々は……呪殺や魔法災害・霊的災害から身を護る為のもののようです」
「どう言う事だ? 何を言っている?」
「『魔法使い』系の異能力者が呪殺の為に使う『
「あ……あ……えっと、ちょっと待て……お前が言いたい事が何となく……」
「は……はい……。この呪符は、おそらく我々『魔法使い』系の異能力者が使う『人の気配を感知する魔法』を阻害する事にも使えます」
「あ……ああ、そうだ、俺もそう言いたか……待て……おい……それって……お前が良く使う、壁や扉の向こうに人が居るかを調べる『魔法』も……」
「え……ええ……この呪符が『シン日本首都』内でも出回っているのなら、この呪符を人間と誤認するケースは今後も起きる可能性が有ります。ま……まぁ……その内、騙され慣れれば、この呪符か本物の人間かを判別出来るようになるかも知れませんが……いつ頃それが可能になるかは……はっきり判りません」
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