第一章:太陽の下で
特務機動隊小隊長 木村正隆 (1)
どうやら、勘違いが始まったのは一九八〇年代の若者向けのTVドラマか、その原作マンガが原因らしい。
あとは、旧首都圏崩壊前に、警察庁が有った場所が東京の「桜田門」だったせいか。
俺達の
だから、大阪が「シン日本首都」となったのを契機に、色を金色から赤に変えられた。
『対象は雑居ビルの最上階……5Fのようです。通販会社のオフィス兼倉庫に偽装されていました』
「公安にその情報が渡っているか確認してくれ」
後方支援チームからの無線通信に対して、俺は、そう答えた。
同じ警察でも、所轄の刑事部は俺達だけでなく公安も嫌っている。
「敵に回せば恐しいが、味方に回ると頼りない」……堂々とそう公言する刑事部の管理職クラスも居る。
富士の噴火による旧首都圏壊滅前からだ。
まぁ、確かに「検察が起訴を認めてくれなかったり、裁判で無罪になると負け」の刑事部と、「裁判で死刑を勝ち取っても、事件を起こされたら負け」の俺達や公安とでは、文化衝突が起きるのは当然だ。
もちろん、より国を護っているのは俺達や公安だが。
『わかりました。あ……ちょっと問題が……』
「どうした?」
『
「それが……普通じゃないのか?」
『え……えっと、何て言うか……車両侵入禁止の広い歩道沿いに玄関が有って……』
「勝手口なんかは?」
『ちょっと待って下さい。ああ……有ります。一応、細い車道に面した小さい入口が、もう1つ』
「おい、もうすぐ現場か? なら、歩道に車を乗り入れろ」
「はい……了解しました」
『ちょっと待って下さい』
「歩道の入口に障害物でも有るのか?」
『いや、そうじゃないですけど』
「なら、問題ない。玄関口を塞ぐ位置に駐車。中村、松井、この車に残れ。芳村、お前は、その勝手口とやらを塞げ。残りは俺と来い。わざと逃して、下に追い込み、挟み撃ちにする」
「了解ッ‼」
部下達は、一斉に答えた。
マヌケにも程が有る。
いつでも逃げ出せるようにしておくべきなのに……雑居ビルの最上階をアジトにするなどとは……。
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