059 王都からコシに戻り嘆きの丘に墓参りに行った
朝食が終わって、エチゼンヤさん夫婦に用が終わったのでコシに帰りたいがどうしますかときくと、店員さんと侍女さんの交代要員の選定と引き継ぎは終わっているし、旅の準備も終わっているのでいつでも出られるとの事だった。
オリメさんとアヤメさんも戻ると即答だ。
ステファニーさんは嘆きの丘にマリアさんと墓参りしたいからついて行く。早速退職の手続きと宿を引き払うと言ってマリアさんと出て行った。荷物はマリアさんが収納すれば良いので簡単だ。
エチゼンヤ支店サイドは簡単に終わったが、グズったのはイサベルさんだ。オリメ商会の話が決まっていないとか、グズるグズる。わかってますって。イサベルさんの部屋にトイレを設置する事で解決した。
翌日、店員さん4人は先発して牧場にバトルホースを引き取りに行って城門外のエチゼンヤの土産物屋で待っている手筈だ。
皆さんに別れを言って城門へ。宰相さんと本部長が待っていた。丁寧な別れの挨拶をされた。そばに止まっている馬車の中から国王が会釈をしてくれた。
みんなに一本ずつやろう。アレだ。効果は聞く暇がなかったが喜んでいるのを見るとお役に立ったんだろう。本店に置いてあるので以後は本店をご贔屓にと言っておいた。
城門を出て土産物屋さんの裏でバトルホースと再会した。また一緒に旅に出られると喜んでいる。
陣立は来た時とほぼ同じ。
4頭立て馬車で2台。爺さん、エリザベスさん、アンナさん、侍女3人、セドリックさんで一台、僕とアカ、マリアさん、ドラちゃん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんで一台、ブランコ、エスポーサは外。騎乗で店員さん4人。御者2人。僕とアカ、マリアさん、ドラちゃんは外にいったり馬車に乗ったりだ。
人通りが少なくなるまで皆に合わせてゆっくりと、少なくなったら武装して、いざ峠道へ。期待に反して何も出ない。盗賊も魔物も獣も出ない。前回退治しすぎたか。その後も何も出ない。とうとう最後の野宿になってしまった。ちょっとした宴会をした。明日はコシだ。
旅の最後の日も良い天気だ。店員さんが帰還を知らせるため2騎先行した。僕らは武装解除してのんびり進む。
コシの東門に着くとバントーさんが待っていた。もちろんすんなり入れた。たった数週間空けただけなのに懐かしいな。
エチゼンヤさんの屋敷に着く。エチゼンヤさんに断ってスパ棟を出した。お馬さんが僕たちも私たちもと言うので厩舎も出した。
夕食は板長さんの夕食だ。道中、板長さんの料理で助かったとお礼を言った。王都の市場で買ったコシでは見かけない食材、果物などを土産に渡した。好きなものがあったらしく喜んでくれた。それと塩を渡した。塩が王都で高かったからね。こちらは王都より更に高いそうだ。色々な種類の塩を渡したら感激された。
夕食後、オリメさんとアヤメさんはまた明日来ると言い残し、親父さんの店に戻って行った。
スパ棟に戻ると何故かエリザベスさんがアンナさんを連れて付いてくる。お風呂を所望ですか。そうですか。はいはい。どうぞどうぞ。旅の途中と同じで女性陣でお風呂に入った。
エチゼンヤさんもセドリックさんとバントーさん、イツカリさんを連れてやってくる。そうですか。男性もお風呂ですか。どうぞどうぞ。バントーさんとイツカリさんは初めてだったけど、自慢げにエチゼンヤさんが説明しているから任せておく。
ブランコと露天風呂で久しぶりに心ゆくまで遊んだ。
その後は、既視感がある入浴のローテイト割当てをエリザベスさんが仕切っている。もうどうぞどうぞだね。
翌朝、オリメさんとアヤメさんが、オリメさんの親父さんを伴ってやってきた。エリザベスさんの執務室で話し込んでいる。
僕らは、セドリックさんに馬車を出してもらって、ステファニーさんとマリアさんを誘い、嘆きの丘に出発だ。
丘の麓の馬車溜まりからマリアさんがステファニーさんを案内して丘に登る。ステファニーさんは来たことは無い。墓石を撫で、涙ぐんでいる。
「あなたも、あなたも、あなたもここに来たの?みんなここで亡くなったのね。マリアを生かしてくれてありがとう。おかげで再会できたわ」
一部屋くらいの床板を収納から出し、真ん中にソファを置いた。
「ステファニーさん、マリアさん。ソファに座ってください。上空からなら故郷が見えます」
ソファに座ってもらって皆んなは僕の周り。ブランコはウロウロしている。危ないからバリアを張っておこう。
さて上昇。巨木のてっぺんを超えた。さらに上がる。遠くに海が見える。その先だね大陸は。薄っすらと見える。ステファニーさんとマリアさんはじっと凝視している。思うことがあるんだろうな。いつか大陸へ連れて行ってやろう。
そろそろ帰らないとお昼に間に合わないね。床板を下に下ろし、もう一度墓にお参りし、馬車で屋敷に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます