第2話
(っ!眩しい!光が...これは)
眩い光に飲み込まれた後、理解した。あれは相討ち覚悟の自爆技だと。輝きと共に己の肉体が焼かれていった。燃えるどころじゃない。一瞬で蒸発するレベルの極大な魔法。魔王自身も命を担保に使用したはずだ。確実に滅び、世界は平和になったはずだ。
しかし、ここは何処だろうか。アレフは自爆技に飲まれて生きていたのか。
(五体満足のはずだ。何せ感覚がある。誰かが助けてくれたのだろうか)
手足は動く。だが妙に身体が怠い。怪我を負ってるにしては奇妙だ。なにせ痛みが皆無。以前、魔王配下の四天王にこっぴどくやられて似たような経験をしたが痛みは誤魔化せなかった。そしてもう一つ。
(う、上手く声を出せない。というかこれは泣いているのか?)
おかしい。何かおかしい。生きているのに詰まったような。でも苦しみとは別種のもので上手く言語化ができない。手足を必死に動かし、どうにも重たい瞼を開けるとそこは奇妙な一室だった。
(木の柵に囲われている?天蓋には...なんだこれは?それに口に何か咥えさせられているのか?)
アレフは現代の知識など無い。何せこの世界とは別の次元の人間なのだ。ベビーベットは兎も角、ベビー用モービルにおしゃぶりなど元の世界にはなかった。
そう、つまりはアレフは今日本で赤子として産まれてしまったのだ。本人は気が付かずに必死に身体を動かす。しかし、赤子のできることなどたかが知れている。そして無力さに撃沈してようやく気がついた。
(か、身体が縮んでいる!?)
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