第13話 留学まで
そこから一年間の留学に向けて、ビザ申請に必要な書類を揃えなければいけない。それに必要なのは受け入れてくれる語学学校を探す必要があった。
パリにはもちろん行きたいが、長くフランスにいたかったので、節約のためと語学を学ぶため(パリだと日本人も多いし、遊んでしまいそうだった)半年は地方の学校に行くことにしていた。
本当はボルドーに行きたかったが、ボルドーの語学学校は返信用封筒までつけて、受け入れのお願いをしたのだが一向に返信されず、催促メールをしたらようやく送られたきたが、滞在予定日付ではなく、年が大幅に間違えていた。これではビザの申請が降りない。なので、もう一度発行してもらわなくてはいけないが、その度に、返信用封筒を送って、さらに…となると時間的にも厳しくなるし、二回目が間違っていないと言う保証はない。
事務手数料みたいなものも払ってしまっていた気がする。(しかし昔のことなので記憶が薄い)
それでもこの学校にこだわる理由はなかったので、違う学校を検討した。
(今と違ってメールで書類をダウンロードというやり取りではなく、郵送された受け入れ証明書を要提出だった)
語学学校とのやりとりで既にフランスという国を味わうことになる。
これは日本人だから、外国人だから意地悪されているという訳ではなく、フランス人も必要書類が人によって言うことが違ったり、間違えた書類を渡されたりということが起こる。(映画スパニッシュアパートメントで、その様子が書かれている。この映画で主人公のフランス人が留学手続きに右往左往する様を見て、フランス留学生はみんな「あぁ…そうなんだよ」と思ったはず)
そういうわけで、トゥールの学校に行くことにした。慣れているのか、すぐに対応してくれて、きちんと必要な書類を送ってくれた。
トゥールは美しいフランス語を使っていると自負している街で、お城が点在している。トゥール大学が提携している? トゥーレーヌ学院というところに決めた。夏期講習二ヶ月と、一ターム(三ヶ月)の五ヶ月で、なんとか語学学校に通い、あとはパリにあるフランスの日本人の語学学校二週間と、ソルボンヌ大学の半年を申し込んでいた。これで一年の滞在許可書が降りるはずだ。
お金は現地でしか口座を開けないから、アメリカンエキスプレスのトラベラーズチェックを持っていく。かなりまとまった金額を用意できなければビザが降りなかった。
後は、飛行機のオープンチケットだ。なぜかその時、タイ航空のビジネスが一年オープンで18万円(今となっては衝撃価格)で売り出されており、優雅にビジネスシートでフランスまで行くことになった。帰りのチケットも確か必要だった。
いろんな事前準備をしつつ、それから一年が過ぎた。
その間、同じ学校に通っていた智子はワーキングホリデーを申請し、通っていた。彼女はフラワーアレンジメントを勉強していた。
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