ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜
撫羽
第1章 冒険へ出発ら!
第1話 プロローグ
ここはヘーネの大森林。エルフが管理する森だ。
大森林の五芒星の頂点の位置におかれているエルフのガーディアンの砦、ベースと呼ばれる拠点がある。
ガーディアンとは、その名の如く大森林の守護者だ。
・大森林の魔物の討伐、調査
・大森林の自生植物や獣の管理、保護、調査
・大森林の異変の有無の監視、調査
・大森林に出入りする者の管理等
その役割は、多岐に渡る。
何故、エルフがガーディアンを担っているのか。それは、この『ヘーネの大森林』の奥深くにエルフ族の国があるからだ。
もう1つ理由がある。『ヘーネの大森林』は奥に行けば行く程魔物が強くなる。
ヒューマン族(人族)ではそんな魔物には対抗できない。頭脳、身体能力、魔力等あらゆる点においてエルフ族はヒューマン族を大きく上回る。まるで、別次元だ。
何より、森と共に生きてきた森人のエルフだからこそ、ヒューマンでは察知できない事でも逸早く気付く事ができるからだ。
ベースを管理するのは、ハイエルフでありエルフ最強の5戦士が管理者を務めている。
そんなエルフが管理しているヘーネの大森林、魔物が我が物顔で闊歩する森だ。そこに入るヒューマンや他種族をチェックし何かあればすぐに出動する。ガーディアンのお陰で大森林は今日も平和を保っている。
そのベースの1つ、皇族であるリヒト・シュテラリールが管理するベースに激震が走った。
「ハ、ハルがぁッ!!」
「リヒト様、ハルがどうしました!?」
「ハルが出て行ったぁッ!!」
「……!?」
ルシカがあまりに突然の事で、反応できずに驚いたままフリーズしている。
さっき皆と一緒に、ルシカの作った朝食をウマウマと言いながら食べていたところだ。
「やっぱりゅしかの飯は超美味いッ!」
と、卵の黄身をほっぺにつけて食べていた。
そして朝食後、ガーディアン達から報告を聞きリヒトが執務室に入るとデスクにハルからの手紙が置いてあった。
辿々しい文字で書いてある。
『ぼうけんにでりゅ。心配いりゃねー』
たったそれだけだ。ルシカが慌てて確認をするために執務室を出る。
「リヒト様、ベースの中を確認しました! シュシュもいません!」
「あいつ……何考えてんだッ!!」
リヒトは長老へとパーピを飛ばす。
すると、直ぐに長老が転移してきた。
「リヒト、ハルがいなくなったとはどういう事だ!?」
「長老、これを見てくれ。ハルの置手紙だ」
リヒトに手渡されたそれを長老が見る。
「ぷ……ククク」
笑っている……長老、余裕じゃん。
「皆と一緒に朝食を食べていたんだ。だからそんなに時間は経っていない。そう遠くには行っていない筈だ」
「ワシが探してくる。リヒト達はベースの仕事をしていてくれ」
「長老! 俺達だって心配なんだ! ハルはまだ3歳のちびっ子だ。シュシュとコハルがいるといってもどうやって旅をするんだよ! 飯も作れねーのに!! 冒険って何だよ!!」
「リヒト、落ち着け。大丈夫だ。まだそう離れていない」
「長老、分かるのか?」
「ワシはハルの気配を辿れるからな。それにハルは居場所が分かる魔導具をつけていただろう。まあ、待っていてくれ」
そう言って、長老はまた転移して行った。
「リヒト様、大丈夫ですよ。長老がああ仰っているのです。待ちましょう」
「ああ、ルシカ。仕方ねーな。しかし、ハルは一体何を考えてんだ」
その頃、ハルはというと……
「しゅしゅ、こっちれ合ってんのか?」
「ハルちゃん、任せてよ」
「こっちでいいなのれす」
シュシュの背中に乗って、大森林をエルヒューレに向かって移動していた。コハルもハルの前にちょこんと乗っている。ある意味無敵のお惚けトリオだ。
「ゆにこーんの方がはえーな。とべりゅしな」
「ハルちゃん、あたしは飛べないけどユニコーンみたいに早く走れるわよ。でも早く走ったらハルちゃん落ちちゃうでしょう?」
「なりゅほろ~」
「そうなのよ~」
「エルヒューレまれ遠いかりゃな」
「そうね、ハルちゃん転移しちゃう?」
「しょうらなぁ……あ、しゅしゅ。しょこの赤い実食べりぇんのか!?」
「え? ハルちゃんどこ?」
なんとも呑気なハルちゃんだ。
そんな時だ。大森林の立派な樹々の立ち並ぶ空間がぐにゃりと揺れた。
「こら、ハル!!」
長老の登場だ。早いな、もう見つけたのか。シュシュの背中に乗っていたハルを抱き上げる。
ハルちゃん、確保だ。ベースから大して離れていない。
「あ、じーちゃん!!」
「ハル、何してるんだ?」
「え……」
「ハルは、1人で冒険なんてまだ無理だろう?」
「しょうか?」
「ああ、そうだ。飯はどうするんだ? ルシカがいないと飯は自分で作らないといけないぞ」
「あ……わしゅれてた」
「ハル……ベースに戻ろう。どうしてこんな事をしたのか話してくれるな」
「ん~、けろじーちゃん。おりぇ行かないと」
「どこに行くんだ?」
「えっちょ……」
「それも言えんのか?」
「しょんなこちょねーけろ……ダメだって言われりゅし」
まあ、ハルがどう言ってももう長老に捕まってしまっている。
「とにかくベースに戻ろう」
「しゃーねー」
という事で、ベースに戻ってきたハル達。ほんの数時間の冒険だった。戻るのは長老の転移で一瞬だ。
そして、ベースにあるリヒトの執務室で尋問開始だ。
「さて、ハル」
「ハル、お前ふざけるのもいい加減にしろよ」
「おりぇはふじゃけてねー」
「じゃあ何でこんな事をしたんだよ。人騒がせな」
「しょれは……」
「ハルちゃん、仕方ないわ」
「しゅしゅ、しょう?」
「ええ。話すしかないわね」
「仕方ないなのれす」
「しょっか……」
ハルが少しずつ話しだす。
「夢ン中に出てきたんら」
「何がだ?」
「しぇいれいおー」
「あんだって?」
「ブハッハッハ!」
「リヒト様、精霊王ではないですか?」
「そうなのか?」
「しょうなんら。だかりゃ本当なのか話したくて……」
「話すって精霊王とか?」
「しょうら」
「ハル、それはいかん」
「じーちゃん、けろ……」
「ハルちゃん、精霊王が何を言っていたのかを話さなきゃね」
シュシュ、まるで保護者だ。
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