第2話 新しい日常
「新入生のみなさーん、こちらでクラスを確認したら教室に向かってください!」
忘れていた、このクラスで全てが決まることを。
「クラス表見に行こ」
「あ、うん」
町田さんは少し小走りでクラス表の場所まで向かって行った。
「うわ~」
「なんだようわ~って」
「うわ~だよ」
変な事を言う町田さんを横目にクラス表から俺の名前を探す。
一組は...なしと、二組もなし、三組は...あった。
今回は三組かーって、えぇ!!。
俺は驚いてしまった。
自分の名前を更に下に目線を向けるとそこには町田茜音という文字があった。
「確かにうわーだわ。」
「十年間連続同じクラスだともはや怖いよね。もしかしてストーカーか何かですか?」
「違いますよー。悲しき勉強マシーンです」
そんな会話をしながら俺達は教室に向かった。
教室が近づくにつれてクラスの雰囲気は大丈夫かとか良いクラスかなとか九十九%ぼっちの俺が考える必要のない事が頭の中を駆け巡る。
教室に着きしばらくするとチャイムと同時に先生が教室に入ってくる。
「はい、みなさんおはようございます。今日から担任になります、
先生の自己紹介が終わると生徒の番になり次々にみんな挨拶をしていく。
「
凄く元気なやつだな。
そして俺の番がやってきてしまった。
「北沢 晴斗です。ゲームとか漫画とか勉強してます。よろしくお願いします。」
なんの感情もなしに言った自己紹介だが我ながら良く話せた方だと思う。
しばらくすると町田さんの番になった。
「町田茜音です。よろしくお願いします」
町田さんにしてはやけに自己紹介が質素だったが気にしないでおくことにした。
自己紹介が終わると休み時間になった。
普通はこの時間に交流するはずだがもちろん俺にはそんなことはできず...
「やっぱり北沢くんは高校でも北沢くんだね。もしかして勉強マシーンになる気なの?!」
「違うよ。てか俺は元からこんなんだろ」
「そうだね!!」
そんな笑顔で自傷を肯定されると少し刺さる。
「あっ! 町田さんだよね? 私は
「よろしくー、柏木さん」
おっ! 町田さん早速友達が出来たのか。早いな~。
なんて思っているとチャイムが鳴った。
「皆さん席に着いてー。いきなりですが来週に親睦を深める為に遠足に行きます!」
「ほんと?! やったー!!」
教室全体に皆の歓声が広がる。
「まず皆さんは4人組の班を作ってください!」
よりによってグループ分けをするのか。
「ねぇー! 町田さん一緒の班になろ!」
「いいよー」
「なぁ! おーい! 聞いてるかー!」
俺はまたしても1人になるのか...
「おい! 聞いてるのか!」
「え、あ、うん。聞いてるよ」
「いや、絶対聞いてなかっただろ。それより一緒の班になろうぜ。」
「あ....うん。いいよ」
「そうだ! 俺の名前は浅井 悠樹。よろしくな!」
「浅井さんよろしく」
「悠樹でいいよ! 俺も晴斗って呼ぶから!」
「わかった。悠樹よろしく。ところであと二人どうするの?」
「あ~、それなんだがこいつらでいいか?」
「僕は何でもいいけど」
誰が入るかなんて今は気にしている場合じゃなかった。
生まれて初めてこんな対応をされた。
「私はさや! よろしくね、きたっち!」
「....きたっち?」
「こいつさっきからこんな感じだから」
「そうなんだ」
「あ、私は
「よろしく」
「みんなメンバー決まったみたいね! 仲良くするのよー!」
はぁ、これから俺の日常はどうなってしまうんだ。
とりあえず入学初日はなんとか乗り切ることができた。
「じゃあみんな気をつけて帰ってねー!」
「北沢くん、帰ろう」
「あ、町田さんか」
「町田ですいませんでしたー」
「そういうことじゃないよ」
「そう? 北沢くん友達出来て良かったね」
「友達っていうのかな。昔みたいにただの人数合わせでしかないだろ」
「またそういう! 大丈夫だよ。きっと」
「だといいな」
「んじゃ、私こっちだからまた明日」
友達か、何なんだろうな。友達って。
まぁ、今日はいつもより疲れてるし考えないでおくか。
ー4月11日ー
ふわぁ~。
今日はなんだかいつもより疲れが取れてない気がする。
まぁ、入学初日だったから仕方ないか。
「おーい。早く出てこないと遅れるよ」
「分かってるから、少し待ってくれ....ってなんで町田さんがいるの?!」
「北沢くんのお母さんが入れてくれたよ」
あの野郎....許さんマジ。
「ほら早く」
「分かったよ。行ってきまーす」
......
「今日は一段と顔が暗いね」
「あぁ、初日で色々と疲れたんだよ」
「そうなのか。まぁ友達がいるんだから話してれば元気になるよ!」
「友達っていうけどな、どうせたてま....」
☆北沢くんのハレ!☆
「な? 教室に入ったけどだれも....」
「よぉ! おはよ、晴斗!」
「あ、おはよう」
「北沢さん、おはようございます」
「わぁー! きたっちおはよー!」
「ね? 言ったでしょ?」
嘘だ、今までそんな事なかったのに。
友達....? なのか....
「なんできたっちそんな朝の早朝から泣いてるの?」
「泣いて....なんかいないし、あとそれ同じ意味な」
「なっ! 分かってたけどあえてだよ! あえて!」
「あははは! なんだよそれ」
「笑うなよー!」
やっぱり町田さんには到底敵わないな。
なんで町田さんは僕の為にそこまで、いつまで優しくしてくれるんだろう。
それからも彼らはこんな僕に毎日声をかけてくれた。
こんな気持ちになったのはあの時以来だ。
「そうだ! 来週の月曜はついに遠足だから買い物に行こうよ!」
「おー! さや、お前にしてはいいこと言うじゃねぇか!」
「いいですね! ちょうど服とかも買いたかったですし!」
「どうだ? 晴斗、お前も行かないか!」
「あぁ、行くよ! 町田さんも行こう」
「え? 私? 違う班だよ」
「全然構わねぇよ! 町田さんも来な!」
「うん。分かった」
「よし、決定だ!明日10時、駅に集合な!」
「言ったでしょ? まだ数日しか経ってないけど仲良くなれるんだよ!」
「あ、うん。まぁ、ありがとう。ドヤ顔されるようなことじゃないけど」
「最後の余計だよ。んじゃまた明日ね」
友達か....今まで考えたくなかったこと。
もし彼らとの友情が仮だとしても周りに人がいないよりかはいいか。
どうすればいいんだろう....
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