第5話

 光に包まれた後暗転し、次第に周りの人の声がガヤガヤと聞こえ始めた。


 目を開けると


「ここがフルダイブの綺麗さか…太y、サンが感動してたのもわかるな」


 オンラインゲームの基本、リアルの名前は出してはいけない。


 太陽の場合、サンだと安直すぎてバレてる可能性もあるけどな!


「とりあえずフレンド登録しておこう」


 視界の端にうつっているフレンド欄を開こうとすると


〈フレンド機能はチュートリアルクエストのクリア後に解放されます。〉


「お、初心者か?チュートリアルクエストはギルドに行くと受けれるぞ。この噴水の目の前のデカい建物がギルドだ」


 ちょうどいいところに背中に大剣を背負った人が現れた。


「あ、わりい。急に声かけちまってびっくりさせちまったか?俺の名前はダンタスだ。よろしくな」


 少し黙っていたら変に気を遣われてしまったようだ。


「俺の名前はサーヴァといいます。ダンタスさん、始めたばかりなので教えてくれませんか?」


「よし、俺も丁度クエストが終わったところだからギルドの説明をするか」


 やっぱり、ゲームの序盤は先輩に教えてもらうのが一番良いからな…


「この扉を開ける…っとここがギルドだ」


 俺が想像していたギルドそのままが出てきたような感じだ。お酒を飲んでいる人もいるが背が低い…ドワーフだろうか?意外と人族以外もちらほらいるな。


 噴水前でもガヤガヤとしていたがギルドの中だともっとにぎやかに感じる。


「クエストの斡旋をしてくれる場所でそこらへんにいる頭上にアイコンが付いてない人はいわゆるNPCと言われる人たちだ。このゲームではNPCとの好感度で発生するクエストもあるから仲良くしておくといい」


 ボードが目の前に現れた。


「あ、ええと。チュートリアルクエスト、ギルドに登録し、クエストを一つ完了しよう」


「それが、チュートリアルクエストだ。チュートリアルだから勝手にボードが出てきたが本来は受付に行き自分に合ったクエストをもらうのがオススメだな。初心者の中にはクエストの掲示板から難しいクエストを選んできてコテンパンにやられるやつもいるからサーヴァ君は気を付けるんだぞ」


 やはり先輩様々だな。ダンタスさん強そうだしもしかしてβの人かもな。あとでサンに聞こう。


「ありがとうございます。色々教えてくれて」


「俺はパーティーメンバーと待ち合わせしてるから、ここでお別れだ。」


 そういってダンタスさんはギルドの酒場の方に行った。


 強そうな人だからまたどこかで会えるだろう。


「まずは受付でギルドに登録か」


 俺がキャラメイクに時間がかかったせいで多くのプレイヤーはクエストで街の外に出ているんだろう。6つある受付の端は一人も並んでいない。


「あのー。ギルドの登録をお願いします」


 端の受付にいたのは気だるげな男性職員だった、他の受付は女性だったので。


「ここって受付じゃなかったですか?」


 と聞いたら


「ん?いや、ここは受付で間違いない。久しぶりに仕事が来たからマニュアルを忘れただけだ」


 と返ってきた。なんだこの人間臭いNPCは。


「じゃあ、登録お願いします」


 受付の男性から紙が渡された。


「その紙に名前と登録する職業書いて、職業は何を書いてもいいけど名前はちゃんと書いてね」


「職業はいつでも書き換えられる?」


「書き換えられるけどランクが変わる時に書き換えないと再発行扱いになるからお金取られるからね」


 暗殺者って正直に書くのもな…


 あ、


「サーヴァ君で職業は魔法使いっと、因みに属性は?」


「風と水です」


「風と水っと。おっけー、登録できた。これ、首から下げるかポケットに入れといてね」


 そういって木で出来た札にさっき書いた情報が書いてあるプレートを渡された。


 たしかダンタスさんが首から下げてたのは金色のプレートだったな…


「あと、初めてのクエストね。魔法使いならこれかな。じゃ、よろしく」


 そういって俺が返事をする間もなく受付の裏の方へ行ってしまった。


「で、クエストの内容は…」


〈チュートリアルクエスト〉

コワードラビットを5体倒せ

・コワードラビット 0/5


「コワードラビットか…ってかあの人どこに出るかとか教えてくれてもいいんじゃない?」

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