第1章エルフの里の残酷焼(ベリーウェルダン)
Q2.なぜエルフの里はいつも焼かれてしまうのでしょうか?様式美だからですか?
思考のフィルターを九割剥ぎました(╹◡╹)
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さて、というわけではじまりした無辜の少女による恩人殺害チャレンジ。初挑戦にして最後の挑戦になってほしい今回の
ここで基本スペックを紹介しましょう。生まれはこの里で、里長の孫娘です。ただでさえ出生数と個体数が少ないエルフの中でも特に希少なハイエルフなので、この里では5人目ですね。一番他のハイエルフで1番年齢が近いのはお母さん、異性に限れば叔父さんなので、何事もなければ種の存続のためにこの人に嫁ぐことになるでしょう。見るからに犯罪的ですが、これも里のみんなのため。アリウムちゃんは幼いながらもそのことを受け入れています。健気ですね。
さてそんなどうでもいいバックボーンはともかくとして、みんな大好き見た目の話をしましょう。顔面についてはさっき触れたから置いといて、身長は121cm、体重は20kg。少し痩せ気味だけど、この年頃の子供としては問題なく育っています。ちなみにこの世界、言語とか物の単位は日本準拠。元々原生生物たちが使っていたものはあやふやだったから、何度か滅ぼした中で少しずつ修正していきました。覚えやすいっていいねっ!!
好きなことはおしゃべりすること、嫌いなことはお勉強。悩み事は教育熱心なお母さんが厳しいことと、同い年の男の子が優しいのか意地悪なのかわからないこと。私こと賢者のおじさんは、おしゃべりしてても何故かお母さんに怒られないから勉強から逃げたい時に便利だと。うん、実に子供らしくて素晴らしい。
余談としてこの里での私の立ち位置を言うと、いつから生きてるのかわからないけど里長よりも長生きな不思議な人、なんかすごい人らしいけど何をしたひとなのかはわからない、そんな扱いだ。この子たちエルフを作ったのは私なのにね。ビッグファザーとお呼びなさい。
心温まる
さてさて、いらない情報はともかくとして、大事なのは
さて、その観点で考えた場合、アリウムちゃんはどうだろうか。まず一点目、身体が持つかだが、ハイエルフは私が遺伝子改良やお薬遊びやらを繰り返した末に生まれた品種なので、総じて頑強性に優れ、壊れにくい。他種との交配が進んだエルフは多少劣化しているが、純血種の性能はピカイチだ。
愛玩兼作業補佐兼実験用に作っため、若く壊れにくく強く賢く美しく、適当に褒め言葉を連ねたら大体当てはまるという汎用性の高さだ。性格の方も生まれた頃からちょくちょく調整していたので、きっと問題なく作動してくれるだろう。
さてさて、あまり自分が作ったおもちゃの話ばかりしていたらお前は何がしたいんだと言われそうなので、そろそろ焼いてこう。行動への介入は最小限に、けれども的確にアリウムちゃんを描いた未来に進ませる。私の腕の見せどころだ。
まず里のみんなに少しの間留守にすることを伝えて、寂しそうにしているアリウムちゃんにお守りをあげる。もの自体は何でもいいと言えば何でもいいが、少し手の込んだものだとなおいい。さすがにお守りがその辺に落ちている木の棒では締まらないからね。仕方がないね。
後は数日経って、お母さんのお勉強から逃げてきたアリウムちゃんが私の家の庭で一人おさぼりをしているところに、見るからに禍々しくて恐ろしい格好をしながら墜落し、とてもこの世のものが出すことのできないような音で吼える。目の前に突然変なものがやってきて怯えているであろう幼女の方に振り向くと、綺麗なスカートに黄色いシミを広げながらへたり込んでいた。せめて無色なら誤魔化せたかもしれないのに。甘いものばっかり食べてるからだぞっ!!まあ、私が食べさせたのだが。
びっくりして逃げ出してもらうためにこんな登場の仕方をしたのだが、どうやら幼女には少々刺激が強すぎたらしく、腰が抜けてしまったのか、それとも逃げる意思すら吹き飛んでしまったのか、動きそうにないので、早速だがてこ入れをする。私の腕は三流だった。まだまだ成長の余地がたくさんあるということだ。
渡していたお守りを特に必要もなく光らせて、それに合わせてアリウムちゃんに気付け魔法を使ってやる。そのままゆっくりと歩み寄ってやると、はっとしたように立ち上がって、叫びながら慌てて逃げて行ったので、まてまてーと追いかける。いくつになっても鬼ごっこは楽しいものだ。
ゆっくり追いかけて、途中転んだ跡を見てほっこりしながら里の中心に向かうと、そこで待っていたのはたくさんの
よくある四種の自然魔法の内の三つで攻撃されたので、あえて火属性の魔法で返してあげると、彼らの多くは消し炭になった。勿論、アリウムちゃんの顔見知り達は別の使い道が残っているので、こんなところで炭になんかせずに隠しているのだが、そんなことを知らないアリウムちゃんの視点からは、勇ましい戦士たちがみんな一瞬で殺されたように見えただろう。演出大成功、ぶいっ!
呆けているアリウムちゃんの前で再び吼えて、今度は周囲に炎をまき散らす。風情のある木工建築物はあっという間に火が回り、室内に避難していたエルフの悲鳴がそこかしこから響く。こういうのを聞くたびにファラリスの牡牛が気になるので、今度機会があったらやってみよう。
真っ赤に染まった周囲の景色の中で、なぜか一人だけ火傷の一つもしていないアリウムちゃんにのっしのっしと近付いて、立ち上がることを拒否した両足を引きずりながら少しでも距離を取ろうとする幼女との距離を詰める。心の距離は遠ざかる一方だが、こちらは順調に近づける。
ゆっくり近づき、手を伸ばす。それに合わせてお守りを強く光らせ、衝撃波を生んで私のことを吹っ飛ばす。ついでに一人でに浮き上がらせて、周囲にベールのような結界を張らせればお守りの役割は終わりだ。この奇跡っぽくて、神秘的な様子を表現するために、お守りをそれっぽい見た目にする必要があった。
実際にはただ私が目の前で一人演技をしているだけなのに、こうしてみるとあら不思議、おじさんからもらったお守りに守られているように見えるのである。
そ認識をより強くするために、何度か結界のことを殴ったり、炎で覆ったり、いろいろしても無駄だった演技をする。そのまま数分間、今にも気絶しそうなアリウムちゃんの前で一人遊んで、最後に一つ吼えたら、自身の放った火を全部消すのと同時に透明化する。
同じタイミングでお守りを灰色の砂に変えてやれば、なぜか撤退した化け物とそれからギリギリで守ってくれたお守りという印象が強くつくだろう。正直お守りにそこまで強い印象をつける必要はないが、その方が不思議な力に守られた主人公っぽさがでてかっこいいのでこうした。
あとは、気絶してしまったアリウムちゃんが目を覚まして、周囲の残がいに吐いたりしながら過ごすのを眺めて、そのまま死にかけたところでさっそうと帰ってきたように見せれば、悲劇の導入としては十分だろう。
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