音楽ランキング 若手編 クリープハイプ

クリープハイプ Sランク


死ぬまでに聴かないと損する若手度 95 Sランク


【解説】

吉澤嘉代子に続き、クリープハイプの解説である。


若手といっても、クリープハイプはメジャーデビューまでに苦労しているため、30過ぎで大分歳は行っているのだが、近年売り出し中という点ではギリギリ若手枠に入るだろうということで、今回のランキングとなった。


苦労しているだけあり、クリープハイプの歌詞、メロディー、演奏技術はいずれもハイレベルで、ケチのつけようがない。


逆に何故これほどのハイセンス、確かな実力を持ったバンドが、メジャーデビューまで十年以上の歳月を要してしまうのだろうと、音楽でメシを食うことの厳しさを肌で感じてしまった。


クリープハイプの何よりも特徴的な部分と言えば、ボーカル尾崎の独特のハイトーンボイスである。


ただ甲高いだけとは違う、どこか高温なのにハスキーが入り混じったような魅力溢れる歌唱は、他の大馬鹿凡人バンド(?)とは一線を画すものであり、クリープハイプの最大のウリとなっている。


ちなみに、ネットで偶然クリープハイプの、おそらくバンドを組んで間もない頃ぐらいの映像を観たのだが、なんと驚くことに、その時はまだボーカル尾崎の独特の歌唱は影も形も見られず、何の変哲もない至って普通のボーカルだった。(!!)


ここから現在の独特の歌唱に至るまで、相当苦悩して試行錯誤を重ねたものと思う。


あの独特の歌唱は初めから神様に用意されたものではなく、誰にも真似のできない『個性』を身につけるために、『人間・尾崎世界観』が努力に努力を重ねて、苦悩の日々の末に生み出したものだったのだ。


クリープハイプというバンドは、正に遅咲きの大器と言えるだろう。


売れない不遇の時代は本当に辛かったと思うが、それでも音楽への情熱を失わず、自分達にしか出来ない音楽を探し出したクリープハイプには、称賛の言葉しか浮かばない。


その辛い時期を乗り越えてきたからこそ、今のクリープハイプの音楽があるし、逆に苦労せずすんなりとメジャーデビューしていれば、他のインスタントミュージック連合(?)と一緒にすぐに消えてしまっていただろう。


かつてのピカソやゴッホがそうであったように、真の芸術は不遇の中から生まれる。


社会に潰され、挫折や苦労を経験した数が、知らず知らずの内に自らの糧となって、作品に結実するのである。


結局デビュー前に苦労するか、デビュー後に苦労するかの違いであり、デビュー前に苦労して『本物の実力』を身につけた彼らは、今後もファンに愛される息の長いバンドになっていくはずだ。


吉澤嘉代子と同じく、これからに期待したいという理由で95としたが、100点満点でも何ら問題ない素晴らしいバンドである。


どの曲もクオリティが高いが、筆者が特におすすめしたいのは『ラブホテル』『憂、燦々』の二曲。


メロディーラインが非常に秀逸であり、何度聴いても飽きない。


音楽的センスのある方であれば、絶対にこのバンドが好きになると断言出来る名曲だ。


最後にご紹介したいのは、アルバム世界観に収録されている、『僕は君の答えになりたいな』という一曲。


この曲だけは、自宅の金魚にエサをやるのを少し遅らせてでも(?)、絶対に聴いて頂きたい。


それこそ本ランキングの趣旨である、死ぬまでに聴かないと損する度マックスのような曲なのだ。


初めてこの曲を聴いた時、筆者は好きすぎて思わず何度もリピートしてしまった。


曲に一目惚れしてしまったと言ってもよい(正確には一聴惚れ)。


なんなんだこの曲は。


歌詞も良いが、メロディーが良すぎる。


なんて切ない。


なんて優しい。


素晴らしすぎて月並みな言葉しか出てこない。


参った。


この一曲のせいで、クリープハイプのことを改めて好きになってしまった。

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