善行ポイント
ぴろわんこ
第1話
日本人のモラル低下が問題になっている。企業の不祥事とか、不正隠蔽などの問題が起きるのは道徳心の欠如によるのではないかとなった。
従来のように学校で道徳の授業を教えるだけでは、あまり効果が見込めないだろうとなった。小学生からの善行ポイント装置の着用が義務づけられた。
どういう物かというと、いいことをした場合には装置がそれを認識してポイントが上がる。悪いことをした場合にはポイントが下がる。ポイントが貯まれば人格者だと認められ、好きな企業に入ることができる。
逆にポイントが下がり過ぎると補導されたり、少年院に入ったりする。
例えばスマホなどを使って、人に悪いことをしろと唆した場合は命じた者のポイントがすごく下がった。
監視社会だ、善行の強制だと批判の声もあったがモラルアップに繋がりそうだし、やってみようかとなった。
事実、品行方正な生徒が増えたし、いじめ問題も少なくなった。
企業も誠実な若者を迎え入れれるようになり、発展していくものと思われた。だが何故か遅刻や欠勤、無断退出、仕事の遅い若者ばかりになった。
理由を訊くと、道端にゴミが落ちていて、このままにしておくと町が汚れたままになってしまう。子供にも悪い見本となってしまう。私がゴミを片付けなければと片付けて遅刻をした。
ある人は通勤途中に道を、ふらふらと歩いているお年寄りを見た。あの足取りでは事故に遭うかもしれない。私がついて見守ってあげなければ、と寄り添ってずっと歩いた。
話を聞くと身寄りの無い一人暮らしだというので、家で倒れていたら大変だと無断退出して様子を見に行った。
ある人は万一仕事にミスがあっては大変だと、同じ書類を十回以上も見直していた。もっと早くやれと上司に注意されても、いえそんな不誠実なことをするのは人道に反しますのでと拘り続けた。
モラルは向上したものの、仕事が遅過ぎると海外からも不審感をもたれ日本の経済は、ますます衰退していった。
善行ポイント ぴろわんこ @pirobigdog
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