誰もがハズレスキルと思い込んでいる【呪詛返し】で俺は頂点に立ちすべてを過去にする

にこん

第1話 規格外の異世界召喚

シュウゥゥゥゥゥ……。


そんな音が鳴った後ガタンガタン!とバスが激しく揺れた。


(いきなりなんだ?このバスは修学旅行に向かう高速のサービスエリアで止まってたのに?なにが起きた?)


それで僕の体もいろんなとこを打った。


「うぐ……」


それから周りを見た。


(バスが事故った?でも、なんで?)


そう思って周りを見て見たが事故が起きたような感じはしない。


それどころか


「長旅お疲れ様ですー」


そんなふうに緊張感を感じさせないようなのんきな声が聞こえてきた。


(クラスメイトのものじゃない?)


そう思って窓から外を見てみると。


「どこだよここ?」


なんていうんだろ。

日本じゃなさそうな場所にいた。


「おいおい、マジかよ……」


僕の隣にいた永田もそう言ってた。


そしてさっき聞こえた声の主はすぐに見つかることになった。


「お疲れ様ですー。降りてきてくださいー」


のんきな声で馬鹿みたいな笑顔を浮かべた女がバスの外に立っていた。


(コスプレ?なんだあのファンタジーみたいな衣装は)


そして


「てかやべぇぞ、これ……どこだよここ。異世界召喚ってやつか?とりあえず現状の確認だ。後で来いよ時雨。先行ってる」


そう言いながらバタバタ永田は外に向かって走っていった。


行動力があるなあいつ。


そうして永田はすぐに走り出してあの女に話しかけに行ってた。

それを見た他のクラスメイトもゾロゾロとそれに続く形で降りていく。


僕はしばらく固まってたけど


(周りに合わせるしかないよな)


お人好しの僕にこれ以上ここでできることなんてない。

弱気で内気でメソメソしてる僕なんかに、なにかできることはない。


そうしてバスを下りる。

キョロキョロ周りを見てみると


(バス8台?)


今僕たちがいるのは闘技場(?)みたいな広い場所だった。


そしてそこにはバスが8台止まってる。


(まさか学年全体でここにきた?)


そこまで確認を終えてから女に目をやった。


女がまた口を開いた。


「えー。まずは自己紹介からいきましょうか。私は大賢者のエリスと申します。あなたがたを召喚しました。そして、ここは日本と呼ばれる場所でも地球と呼ばれる場所でもありません。つまり異世界です」


その言葉に答えたのは別のクラスのやつだった。


名前は生田。

有名ないわゆるヤンキーだ。


それが生田でありみんなの嫌われ者。


「なに寝ぼけたこといってんの?お前。電波系ってやつ?」


ゲラゲラ笑いながら女に近寄っていく生田。


「電波系とは?」

「頭おかしいんだろって話してんの」

「なるほど。【ステータスオープン】」


そう言うと突然


俺たちの目の前にこんなものが表示された。



名前:イクタ

レベル:1


称号:なし

スキル:なし



それが表示されてエリスの顔色は変わった。


「頭がおかしいのはあなたでは?こんな情けないステータスで私に楯突いたのですか?雑魚は雑魚らしくしていてくださいね?」


エリスは持っていた杖の先端を生田に向けた。


【ファイア】


その瞬間生田の全身が燃えた。


「うぎゃぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」


瞬間鼻に飛び込んできたの肉の焦げるにおい。

人が燃えるにおいだ。


エリスの顔色が変わっていた。


「あらあらあら、このままでは死んでしまいますね【ウォーター】」


燃えていた生田の体は大量の水により鎮火した。


染めていた金色の髪はすべて燃えて皮膚は焼けただれていた。

服はわずかに燃え残っている。


「ちょ……え?」

「う、うそ……」

「ま、魔法?」

「え、え?」


女子生徒たちが戸惑っていた。

そこに生田の教室の担任が飛んできた。


「あ、あなた。今のは殺人未遂ですよ?!」


そうしてエリスに言っているがエリスはまた顔を歪めた。


「この世界にそんなものはありませんよ?言ったでしょう?日本でも地球でもない、と。あなたがたの言う法律というものがあるのでしたら、それは私がそうです。今この場においては私が神であり法律だと思ってください」


そうして燃えた生田のことなんて忘れたように俺たちを見るエリス。


「まだここが異世界ではないと思う人はいますか?いましたら手をあげてください。マンツーマンでしっかりとお聞かせしてさしあげましょう」


そう言ってからエリスは手に持っていた杖の先端をもう一度生田に向けた。


「【ヒール】」


すると生田の髪の毛は戻り焼けただれた皮膚も元通りになる。


「これが魔法です。あなたがたの世界にはなかったものでしょう。いい見本になってくれてありがとうございます。生田さん?」


ゾクッ。

身も凍るような笑顔をエリスは生田に向けていた。


「う、うわぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!!」


生田は走って逃げ出していった。


それを止める様子も見せないエリス。


「止めはしませんが、逃げるのはおすすめしませんよ。今からあなたがたにはこの世界で生きる上で大切な【スキル】を授かるのですから」


エリスがそう言った時だった。


闘技場の周りにある選手が入場するための通路?から人がゾロゾロと出てきた。


まるで魔法使いのような姿をしていた。


そいつらが僕たちの近くまでよってくるとエリスの横に机を並べてそこに水晶を置いた。


「さぁ、始めましょうか。神託の儀式」


ずいぶん手馴れた様子のエリスとその他の人物たち。


(俺たちが初めてじゃないのかな)


それから彼女は口を開いた。


「では、いい【スキル】をもらえるように祈りましょうか。勇者の皆様。ガチャですよガチャ。私も300連ガチャ楽しみです」


そうしてエリスと男たちが作業を進めてる時、永田が話しかけてきた。


「どう思うよ時雨」

「現状じゃ何も言えないかな。とりあえず僕は従うことにするよ」


そう言うと永田はこう言った。


「生田のやつが帰ってこねぇ。ってことは途中退室を認めてるってことだよな?」

「まさか?」

「俺はスキルってやつをもらってズラかるつもりだ。だから先に言っとくわ。じゃあな」


永田。

昔から行動が読めない男だったけど。


ほんとうに行動が読めない男だ。


あと、読めないと言えばあのエリスというやつも分からないことだらけだが、


(煽り耐性がめちゃくちゃ低そうだな。余計なことは言わないように注意しよう)


ちょっと悪く言われただけで生田を殺しに行った。

ほんとうに頭がおかしいんじゃないだろうかあの人は。


日本人基準としてはそう思わざるをえない。


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