感想23「僕の勇者のいちばん長い日 運命の夜と最後の魔王」作者 氷室凛 様

23個目の感想は、 氷室凛 様の「僕の勇者のいちばん長い日 運命の夜と最後の魔王」についてです。

https://kakuyomu.jp/works/16817330653800201651


冒頭の「初めの魔法」の描写がとても綺麗でイメージしやすくて、ワクワクしました。その後の急展開にも胸が鷲掴みされ、これは面白い作品だと思いました。

期待を裏切られないままに、物語はテンポよく進み、続きが気になって、ぐいぐい読みました。

(なんていうか、読みづらい感想すみません)


さてネタバレ感想です。



あんなにに素直だったイルが、成長したらこんな風に。

村が消滅して、妹以外全ての村人が殺されたら、そうなりますよね。

妹の描写がほとんどなかったので、もしかして記憶をいじられた幻の妹かと思ってしまいましたが、それはなかったのでほっとしました。

魔王打倒を糧に生きていたイルだけど、アリィの言葉によって救われる。アリィの側で穏やかな暮らしをしていた彼を訪問する魔王。

そこから、いきなり魔王城近くへ。

少年の姿の魔王。実際姿だけじゃなくて、心も少年のままでしたよね。

魔王の背景、魔人の生まれた理由、この戦争の意味。

それを知って、少年ーー魔王を手伝うイル。

初代魔王の悲しい物語。

人間の世界ーライラプスで伝わるシリウスの伝説、魔王が知る話、そして初代魔王が語る物語。

事実は同じでも、その裏には理由があって、それがとても悲しい。

私は同情してしまったのですが、イルが単なる同情ではなく、そばにいて救ってあげたのが印象的でした。

イルも、魔王ロキも初代魔王も、皆悲しい思いを抱えている。

だけど、昇華されて前向きに動き出した終わりがとてもよいと思いました。


世界観、魔法の設定、隙がなく作られていて、見習いたいなあ。

良質のファンタジー小説を読ませていただきありがとうございました。


企画へのご参加も感謝しています。


さて、次の感想は、 書記係K君 様「シャーロキアンの事件簿」です。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558465536101





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