今までの主人公が集まってしゃべくり合うだけ。

うすしお

お集まりいただき……


 星空の中にそれはある。大きく丸い黒のテーブルクロスの敷かれたテーブルを囲む人達。その空間の周りには落書やら赤い糸やら光剣やら着火されていない爆弾やら積読本やら機械の眼鏡やら絆創膏やらがゆっくり降り注いでいる。


 ここはとあるしがない物書き、うすしおの創造世界が融合された場所。


 さあ、議論をしよう。それぞれの作品がどのようなものだったか――


うすしお「えー、本日は、僕が作り出した作品たちの主人公の皆様、お集まりいただきありがとうございます。それでは皆さん、自己紹介をどうぞ」


 うすしおは両肘を机に預けながら、両手を顎の下で絡ませて言った。


櫂房令斗「えっと、『鍵穴くん』の主人公、櫂房令斗と言います……。あまりこういう場は慣れてないんですけど、よろしくお願いします……」


鳴坂眞白「『罰欲センサー』の主人公、鳴坂眞白です。よろしく」


嘉良下加奈「え、私一話くらいしか出てないですよね……。『ドーパミンガール』の嘉良下加奈です。別に辛子高菜じゃないです」


深山佐凪「『行き場のないヒーロー』の主人公、深山佐凪です! よろしくお願いしますっ‼」


爆発オチの人「『異世界転生したらスキルが爆発オチでした』の主人公ですどうもです。名前はまだ無い。この場を混乱させないでくださいね。爆発しちゃいますから」


カズ「えっと、『人間チュートリアル』の主人公、カズと言います……。あまりこういう場は慣れてないんですけど、よろしくお願いします……」


光基「『ぼくらとパラフィリア』の主人公、光基です。新人なのでお手柔らかにお願いいたします」


うすしお「皆さん、自己紹介ありがとうございます。えー、では、これから僕の作り出した作品を振り返って、自己満足に自分を褒めたりいちゃもんつけたりする議論を始めたいと思っております。ここにいる読者はなんのこっちゃって感じですが、ここにいる私もなんのこっちゃって感じです。


 それでは行きましょう。まず最初はあなた!」


櫂房令斗「ひいっ⁉」


うすしお「あ、怖がらせちゃった? まあ、まずは僕の処女作『鍵穴くん』について議論していきましょうか……」


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