第11話 異邦人 カミュ


15歳の時に閉鎖病棟で読んでわりかし、短いスパンで読んだ小説。


太陽が眩しい、と言って射殺した青年、ムルソー。冒頭の『きょう、ママンが死んだ』は日本語で直訳すると、『きょう、おっかさんが死んだ』と軽妙な語り口になるのだ、と耳に挟んだ。ずいぶん語り口だけで印象が変わるんだなあ。結局のところ、不条理な無差別殺人を予言したような小説なのだろう。もちろん、それだけでは語られないのだけれども、この小説はまっすぐな絶望感が胸を貫いている。何度も獄中で置いてあった新聞紙を何十回と読む下り、私自身もあの頃は閉鎖病棟に入院していたからそうやって無意味に時間を過ごすのって何となくだが、分かるなあ、と思った。


10代の頃にはたくさん本を読んだけど再読する読書もいいな。



≪印象に残った一行≫



きょう、ママンが死んだ。



何か不穏な展開を思い起こさせる。

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