AIが支配する世界でそれでも私はイラストを描く

みんと@「炎帝姫」執筆中

第0話 この世界は……

 西暦二一八五年――。

 この世界はAIにより支配されていた。


 交通、配送、医療……様々な分野に羽を伸ばしたAIは、人々の生活を豊かにする一方、人から個性を奪う悪魔とも化していた。


 その最たるものは「芸術」。

 特にイラストは、AIによる作画が幅を利かし、「個性あるイラスト」から「美しく統一感のあるイラスト」が良いものだと、人々の心に認識されるようになった。


 結果、イラストは、今や「AIが描くもの」とされ、自らの手で作画する人間なんて、時代遅れの馬鹿同然。

 漫画家という職業さえ最早すたれ、漫画を作る作家はストーリーを構成する「原作者」。

 小説家との差はもうほとんどないに等しく、コマを割って絵を見せるか、挿絵を使って文を見せるかの違い……なんて言われているほどだ。


 確かに、AIが作るイラストは、早くて綺麗で良いのかもしれない。パースも外さないし、AI技術の発展により、人の赴くまま、思うポーズのイラストを描いてくれるのだから。


 だけど、そんな世界でも私は……。


未桜みおっ! まーたイラスト描いてるの?」

「……!」

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