母の言葉
「それってあんたの想像の友達?」
聞かれた瞬間、息が詰まった。こういうことはよくある。呼吸がしにくくなるけれど、それはほんのちょっとの間だけだから、すぐに返事だってできるのだ。「ほんとにいるよ」でもこれで精一杯。
母はこの返答に何か思うところがあったのか、黙ってわたしを見つめた後、あっそ、と応えて話を切りあげた。そのままふいとテレビに視線を移す。
見つめられていたのはほんの数秒にも満たない間だったのだろう。けど、わたしにはその何倍も長い時間に思えた。いつの間にか拳を握っていたみたいで、びっしょりとかいた手汗が、掴んでいたスカートを濡らしていた。
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