小話 こんにちはお嬢さん
夜のお祈りが終わったからと言って
すぐに寝たりはしない。
修道女として、そして真摯なる信徒として
家に帰れなかった人、傷ついた人の為に
たまに部屋から出て教会を見回る。
なんて事のないいつものことだったが
見た事のない少女がいた。
最初は黒い点があると思ったし、疲れているから幻覚かと思った、が違った。
黒髪の清い少女が真摯に目を瞑り
手を合わせて祈っている。
若いのに感心なことだ
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瞼の重みが消えた
少しステンドグラスから入る光が眩しい
そんなに時間は経っていないはずだが
そして足音が聞こえる
暗くて見えにくいけど
金髪のシスターさんかな?
こっちに歩いてきた、光源も持たずに
あっやばい、あくびが出そうだ。
やばい、流石に教会で寝てたら怒られる
噛みしめろ私
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近づいてよく見てみると
涙を流していた、それもシンボルを見ながら
若い人は血気が多かったり、色恋にかまける人が多い、特にあのような綺麗な少女は。
しかも発展してるこの街のことだ。浮かれてる若者も多くない。悪いことではないのだが。
しかしこの子は
なんと、清純無垢な顔で祈るのだろうか
耳飾りのせいか大人びて見える
黒髪は全てを飲む闇のようで
顔は全てを包み、悼む。そんな顔をしていた
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よし、なんとかあくびを乗り切った。
一礼して逃げよう。
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なんとなく、意味はないが少女に
話しかけた
「こんばんわ、お嬢さん」
「こんばんわ」
ますい、お説教か?
「お祈りが丁寧ですね」
やばい、宗教関係の話をされたら終わりだ
何もわからないし、信仰心がないのがバレる
「この雰囲気が好きなのです」
あぁ、この子は、悩みがあったら話し難い子なんだろう。そう思ってしまった
目元で光が反射していた。何を思い涙し
何を思い祈るのか、将来への不安か何かだろうか?
この領地は学園があり悩みがある子もたまにいる。そう言った子の話を聞くのも私たち聖職者の務めだ
しかし暗くなっている、悩みを聞く時間もない。
そうだ、冒険者にもらったペンダントが余っている。これをあげよう
何やら
「迷えるあなたにこれを」
「これは?」
「真摯なるあなたへの贈り物です」
なんだろうこれ?
シンボルに似てるけど
真ん中に天使の輪っかみたいなやつがあり
そして左右に羽がある、
わーい金ピカだぁ
「ありがとうございます」
「もしなにか、悩みがあったらいつでも来て下さい。今度は明るい時間にね」
そう言ったら、一礼して、その子は出て行ってしまった
ああ神よどうかあの子に祝福のあらんことを
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