小話 こんにちはお嬢さん

夜のお祈りが終わったからと言って

すぐに寝たりはしない。


修道女として、そして真摯なる信徒として

家に帰れなかった人、傷ついた人の為に

たまに部屋から出て教会を見回る。


なんて事のないいつものことだったが

見た事のない少女がいた。


最初は黒い点があると思ったし、疲れているから幻覚かと思った、が違った。


黒髪の清い少女が真摯に目を瞑り

手を合わせて祈っている。


若いのに感心なことだ


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瞼の重みが消えた

少しステンドグラスから入る光が眩しい

そんなに時間は経っていないはずだが


そして足音が聞こえる


暗くて見えにくいけど


金髪のシスターさんかな?

こっちに歩いてきた、光源も持たずに


あっやばい、あくびが出そうだ。

やばい、流石に教会で寝てたら怒られる


噛みしめろ私


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近づいてよく見てみると


涙を流していた、それもシンボルを見ながら

若い人は血気が多かったり、色恋にかまける人が多い、特にあのような綺麗な少女は。


しかも発展してるこの街のことだ。浮かれてる若者も多くない。悪いことではないのだが。


しかしこの子は

なんと、清純無垢な顔で祈るのだろうか


耳飾りのせいか大人びて見える

黒髪は全てを飲む闇のようで


顔は全てを包み、悼む。そんな顔をしていた


▲▲▲▲▲▲▲▲▲


よし、なんとかあくびを乗り切った。

一礼して逃げよう。


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なんとなく、意味はないが少女に

話しかけた


「こんばんわ、お嬢さん」


「こんばんわ」

ますい、お説教か?


「お祈りが丁寧ですね」


やばい、宗教関係の話をされたら終わりだ

何もわからないし、信仰心がないのがバレる

「この雰囲気が好きなのです」


あぁ、この子は、悩みがあったら話し難い子なんだろう。そう思ってしまった

目元で光が反射していた。何を思い涙し

何を思い祈るのか、将来への不安か何かだろうか?


この領地は学園があり悩みがある子もたまにいる。そう言った子の話を聞くのも私たち聖職者の務めだ


しかし暗くなっている、悩みを聞く時間もない。


そうだ、冒険者にもらったペンダントが余っている。これをあげよう

何やら迷宮ダンジョンにて見つけたらしい。この子の依る所になるといいな


「迷えるあなたにこれを」


「これは?」


「真摯なるあなたへの贈り物です」


なんだろうこれ?

シンボルに似てるけど

真ん中に天使の輪っかみたいなやつがあり

そして左右に羽がある、

わーい金ピカだぁ


「ありがとうございます」


「もしなにか、悩みがあったらいつでも来て下さい。今度は明るい時間にね」


そう言ったら、一礼して、その子は出て行ってしまった


ああ神よどうかあの子に祝福のあらんことを



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