因果応報

いません

第1話 仮初がいい

その手の話しには詳しくないが、「勃起不全」所謂EDだった。

まだ20代の若さで何故か、いざその時になるとふにゃふにゃとシナってしまった。

故に彼とはそれ自体の回数はほとんどないに等しい。


「私のせい?」

「そんな事はないよ!」

「・・・・・。」

(そうは言われても、その時以外は元気じゃないの、、、。)

正確に言えば、「膣内射精障害」か?


「疲労やストレス、それに不倫というプレッシャー」という理由はにわかに信じがたく、どう考えても私の身体に問題があったと思う。確かに、最後まで致したか否かが不倫の境界線となるらしいから、(いや、常習的に行われれば別であると思うが)それさえしなければ、という逃げ道を彼は持っていたのかもしれない。しかし、プレッシャーはプレッシャーでも、「きちんとこの中で果たせるだろうか?」という気持ちが強かったのではないか?

おそらく、変な自己処理のしすぎによるものだろう。あそこが人並以上だったのも理由かもしれない。でも、私にはきっと圧が足りない、だからじゃないだろうか?そんな不安を抱くようになってしまった。

では世の男性は経産婦の中では果てることはできないのか?と聞かれれば、それなら同じ女性から二人目三人目の子どもが生まれていることに説明がつかない。

『相性』。こればっかりは、きっと相性というものがあるのだろう。経産婦の方が感度が増すといわれている。彼は今までの女性との体の違いに驚いていた。きっと良い方にその違いが出れば相性は抜群になったと思う。しかし、その彼とは最後はダメだった。

しかし、それだけが抱き合うという行為ではないと思う。それ以外でも愛情はめられるものだ。


身体にしても何にしても付き合ってみなければ、その人が自分の『運命』の人であるかなど分からないというもの。 


彼は私にとって『運命の人』ではなかった。彼は十分に私だけを愛してくれた。独占欲が強くて礼儀正しく、家族思いで仕事熱心でとてもピュアで。でも、運命の人ではなかった。

愛情を確かめる行為は月日を経て、いつの間にかストレス解消のための行為へと変わっていたのがわかったからだ。ならばやはり、愛情はそれで確かめられる、と言えるのかもしれない。


最終的に、彼とはそれが理由で別れたわけではない。顔を合わせなくなったら、向こうの執着が薄れたのだ。もしくは他にいい人ができたのだと思う。簡単に恋など終わらせることができるのだ。

私もやっと別れられた、そんな気持ちだった。恋の賞味期限は3年だそう。それ以上続いたのは、私の『我慢と保身』に他ならなかった。


女としての価値を確認したかった、寂しかった、もう一度キュンキュンする恋がしたかった。たったそれだけの、なんて身勝手な言い訳だ。私は彼をそこまで愛していなかった、名前も忘れてしまうような薄情で残酷なものだ。


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