第67話 アオバの本命?
アムセ王国へと帰る道中、ノシム車内ではアオバ達が滞在中経験した出来事をローレンへと話していた。
もちろんアオバが地球人ということは伏せてある。
「その時のエミルさんは手足から血を流しながらもシュロカと互角の速度で動き回り、遂にはシュロカの足を一本切断することに成功したのです!バランスを崩したシュロカが壁に激突する中、道の真ん中に立っているエミルさんはとてもかっこよかったですよ!」
「アオバ、その話はもうそのぐらいで良いだろう?」
エミルは恥ずかしそうにしているがアオバはあの時の光景が忘れられないでいた。
「いえいえ、まだ続きがあります!倒れているシュロカが起き上がろうと―――」
「ごめんなさい、ちょっと良いかしら?」
「…ローレン様、どうかしましたか?」
「アオバさんってエミルさんの話を始めたらすごく目を輝かせて話していますが、エミルさんのこと好き過ぎません?」
「「えっ?」」
アオバとエミルの声が重なる、お互い数秒間見つめ合った後、二人共顔を赤くして目線を逸らした。
「…こんな反応私とはしたことないのに!エミルズルい!」
「そうです!どうやってアオバさんを落としたんですか!教えて下さい!」
エミルが困っている、それに本人がいるところで聞くことではないだろう。
「私もそういうの欲しい!アオバちゃん!私にもドキドキしてるって言ってたよね?」
「そ、そうですね…」
「今夜ちょっとだけ付き合ってくれる?大丈夫!優しくするよ」
「何をしようとしてるんですか!そうはさせませんよ!アオバさんは私と寝るんですから!そして私にもドキドキしてもらいます!」
リリとローレンがアオバの取り合いをしている中、エミルは少し顔が緩んでおり、それを二人に見つかった。
「エミル!そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちだからね!」
「そうですよ!アオバさんの心は王都に帰るまでに私に振り向かせて見せますから!」
「お二人共、あんまり過激なことをするようなら一緒に寝ませんよ」
「大丈夫、ちょっとだけだから…」
「嫌がることはしませんよ!」
その夜、アオバとリリとローレンの三人でノシム車内で並んで寝ることになったが、二人がお互いを牽制し合っている間にアオバは眠りについていた。
翌朝、アオバが目覚めると二人に抱きしめられて動けない状態だったので二人を起こすととても眠そうにしていた、どうやら寝不足らしい。
行きとは違い何のトラブルもなくアムセ王国王都まで到着することができた、ダンテがオステルで購入したという魔物よけのお香が効いたのかもしれない。
その道中、リリとローレンはアオバにもたれて眠っていた。
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