第15話 ムヤ!ニアマ!ゴタソ!
ギルド長ガーゼスが言うには、ハンター経験が全然無いアオバをいきなりランクの高いクエストに行かせるのは危険過ぎるということで、サポーターであることを加味して、アオバが低ランクのクエストを一人でこなすことが出来ればパーティーを認めるということとなった。
「受けるクエストは討伐系のクエストが良いな、最低限身を守れるという証明になる」
「私達が守るから良いじゃない!」
「お前達二人が戦闘している間、アオバくんが別の魔物に襲われたとき逃げるぐらいはできないとマズいだろ、魔物に足がすくんで逃げられずに殺されましたじゃあシャレにならんからな」
「だから討伐系のクエストなんですね…」
「そう、魔物を前にしてちゃんと動けるかが大事だからな」
ホーサノの時は尻餅をついて危うく大怪我するところだった、高いランクのクエストについていく前に少しでも魔物に慣れていた方が良いだろう。
…ということは頭では分かっているのだが…
「分かりました…クエスト受けます…」
「なんだそのあからさまに嫌そうな顔は…」
単純に面倒くさいし危険なことなんてしたくない、二人についていくには必要なことだと分かっているから拒否はしないが。
「まぁ良い、とりあえず今出てる討伐依頼を持ってきてくれ」
お姉さんは立ち上がり部屋を出ていくと、すぐに3枚の紙を持ってきた。
「今出てる低ランクの討伐依頼は『ムヤ』と『ニアマ』と『ゴタソ』ですね」
「アオバくん、どれにするかな?」
「全部どんな魔物か知らないんですが…」
「えっ?」
アオバ以外の全員が驚いた顔をする、それほど一般的なよく見る魔物ということだろうか。
お姉さんが近くの棚から図鑑のようなものを持ってきて見せてくれた。
図鑑によると『ムヤ』は体長80センチ程の大きなネズミのような容姿で、前脚の爪が太く平たくなっていて穴を掘って地中に巣を作る魔物のようだ。
『ニアマ』は見た目や大きさがウサギにとても似ているが鋭く長い角と可愛くない牙が生えている、肉食かつ獰猛な性格で人を襲うこともあるらしい。
最後に『ゴタソ』は全体的に犬のような姿をしているが体の外側の毛がハリネズミのような針状になっている、おなか側の毛は柔らかくそこが弱点らしい。
「見た目的にはムヤとニアマが弱そうですがニアマは獰猛らしいので受けるならムヤですかね…」
「僕もそれが良いと思う、ニアマとゴタソは動きが早いし大怪我する危険も大きい、ムヤなら走ってでも逃げられるし縄張りを出たら追ってこなくなるからね」
「よし、それじゃあムヤ3体の討伐で決まりだな、今日行くか?準備が必要なら明日でも良いが」
アオバはやらなきゃいけないことは先に終わらせて何の憂いもなくダラダラしていたい性格である。
夏休みの宿題も早いうちに終わらせてその後の休みを涼しい部屋でダラダラ過ごすのが好きだった。
「…今日行きます…」
「相変わらず嫌そうな顔だが行くってんなら別に良いさ」
お姉さんとクエスト受注の手続きをして三人は部屋を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます