目に余るほどウザい

エリー.ファー

目に余るほどウザい

「今を知るんだよ」

「今ってなんですか」


「鈴木って誰ですか」

「基樹です」


「カーテンの色を教えて下さい」

「黒か金色です」


「モノクロってなんですか」

「思考の外れ方を示した基準です」


「千本ノックについて御存知ですか」

「知りません」


「死とはなんですか」

「生の逆ではないものです」


「このまま、ずっとここにいてくれますか」

「どこかに行こうとする私のことしか、愛せないくせに」


「忘却とは幸福ですか」

「不幸ではありません」


「勝てばいいのですよ」

「全く、その通りです」


「諸行無常とはなんですか」

「今、この瞬間も感じられるすべてです」


「数字を重ねて殺して下さい」

「お断りいたします」


「完全からほど遠い世界はどこにありますか」

「今、ここに」


「白い人生とは何ですか」

「人生の紛い物です」


「今、ここで戦わなかったら、何にも残らねぇぞ」

「そんなわけねぇだろ。人生、舐めんなよボケが」


「時間とは何ですか」

「希望です」


「希望とは何ですか」

「時間です」


「命が連なっているのであれば、世界は変わると思いますか」

「もう、変わっている」


「騙し討ちでもいいから、勝ちに行く。それでいいですね」

「はい」


「涙声で作り出された空には、何が住んでいるのですか」

「何もかも、です」


「健全からほど遠いものがあります」

「情報が必要です」


「急な殺し合いが始まりました」

「分かっています。逃げましょう。生き残ることが先決です」


「炭酸の音を聞かせて下さい」

「嫌です。お断りいたします」


「ペットボトル型の爆弾はどこにあるのですか」

「どこにもありません」


「水辺の殺し屋を増やすための方法を教えて下さい」

「さあ、自分で考えてみはいかがですか」


「ヘッドホンを爆発させてくれませんか」

「いいですよ」


「もしも、もしもだよ。僕が、もしも、その、ブルーライトマンだったら、どうする。いや、あの、その、もしもさ、もしもの話だよ。あぁ、そうだよね、笑っちゃうよね、もしもの話だとしても、めちゃくちゃ変な話だし。あぁ、分かるよ、分かる。でも、さ。気になるんだ。どうしても教えて欲しいんだよ。何を考えてくれるのかなって、何を思ってくれるのかなって。そう、下らないよね。分かる、分かるよ。でも、どうしても聞きたいんだ。じゃあ、もう一回、もう一回だけ聞くからね。その質問に答えないなら、もう、それ以上は聞かないよ。これで、おしまい。もう、終了ってことになる。だから、僕にとっても君にとっても最後のチャンスと言えるかもね。最後なんて、強い言葉を久しぶりに使ったよ。それだけ、僕は追い込まれているのかもしれないね。怖くて怖くて仕方ないよ。もしかしたら、何かが変わるかもしれない、常識や世界、社会や人間関係、とにかく色々ね。ねぇ、ブルーライトマンって、本当にいると思うかい。ほら、噂の域を出ていないわけだから、なんとも言えない存在だろう。だから、信じてるかどうかも知りたいんだ。で、その上で、僕がブルーライトまんだったら、なんて、意味のない、中身のない、節操のない、質問をするよ。教えて欲しいんだ。その答えを、僕の中に刻みたいんだ」

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