第20話 トウマとヒナノ
「なに?! ヒナノが居ないって……どういう事だ?!」
夜中、俺が寝ているとメリーが俺を起こしにきた。
「どういう事だ?」
「それが……」
メリー曰くその時同室に居てメリーは寝ていた為目撃はしていないがヒュウに聞いたところヒナノが1人で話してどこかへ走っていったそうだ。
「……1人で?」
意味がわからなかった。
(ヒナノが1人で話す……?)
「はい……まるで倒れている時のトウマさん見たいだと言っていました……」
「俺? 倒れている時に俺は何を言っていたんだ?!」
「え? えぇと……確かじくうほう?だとか」
「っ……! そういう事か!」
俺は倒れた時は精神空間に悪魔が来た時外の体はもちろん動いていなく、精神空間での死は体の死には直結しないと考えていた。
つまり外界への影響は薄いと勝手に思い込んでいた。
しかし寝言という形ではあるが外への影響を出せるのであれば……
「体も動かせる……夢遊病のようなものか……!」
ヒナノを連れ去った犯人はほぼ奴らで確定だろう。
ヒナノが何かと敵対していたとは考えにくいし今のところ精神に入り込めるやつを俺はアイツらしか知らない。
「メリー! ヒナノはどこに?!」
「それが……分からないんです! ヒュウが追っていたはずなのにいつの間にか見えなくなったらしくて……」
「ヒュウは?!」
メリーに連れられて隣の部屋に向かうと 腕に黒い模様が浮かび上がるヒュウが居た。
「ヒュウ!」
「あ……先生……へへ、俺ドジっちまった……」
この模様は……!
「鑑定……」
・名称 嫉妬の呪い(才)
説明
嫉妬の悪魔が才能溢れるものにつける呪い
ありとあらゆる動作にマイナス補正
模様が回りきると死ぬ
やはり嫉妬か……
「メリー、ヒュウを頼む」
「と、トウマさん!」
俺はもう我慢の限界だった。
ヒュウもメリーも別に何かをした訳でもないのに……兄妹揃って呪いをかけられる?
ふざけるな……!
それにヒナノだって……
「無属性魔法サーチ、対象指定……」
悪魔は精神世界にまだ居るか……なら
「対象指定ヒナノ!」
町一帯を範囲に魔法を展開するとすぐ見つかった。
「ここは……門?」
まさか奴はヒナノの体を使って街から脱出する気か?
奴ほどの悪魔ならそんなことしなくても……
「いや、考えるのは後だ。待っててくれヒナノ……!」
身体強化を発動し俺は建物の上を走り抜ける。
しかしヒナノも身体強化しているのか俺が追いつくよりも先に門を抜けてしまった。
「頼む……! 間に合ってくれよ!」
《ヒナノ視点》
「ここは……どこ?」
私は目が覚めると森の中に居た。
もちろん自分で外に出た記憶は無いため少し……いや、かなり混乱していた。
そんな時に後ろから目の前にいきなり女の子が現れ私に話しかけてきた。
「あ、おきた〜?」
「え……と貴方は誰ですか?」
私が尋ねると女の子は少しぽかんとしたと思ったら笑いだした
「ふふ、うん、貴方は大丈夫!」
「よかったね〜、レヴィ〜」
話してる意味は分からないが馬鹿にされてるのだけはわかった為女の子にさらに声をかける
「あなた誰? なんで私はこんなとこにいるの?」
「私たちは悪魔!」
「嫉妬、「しきよくだよ〜」」
「途中で入らないでアスモ!」
なんかワチャワチャしてるな……と思ったが良く考えれば彼女は1人だ……
「……? 誰と会話しているの?!」
「私たちは2人で1人の悪魔なのよ……」
「でもこれからはさんにんでひとり〜」
「3人……?」
やはり意味が分からなかった。
しかし悪魔ということ、そして嫉妬という言葉が彼女からでていたらいくら私でも予想はつく。
「貴方ですか……メリーちゃんに呪いをかけたのは!」
私が怒りをぶつけても彼女はけろっとした顔をしていた。
まあ私はなんの力もないから当たり前かもしれないけど……
「ふふ、そんなに怒らないで? 私たちは仲良くなれると思うの……」
「だって貴方……なんの才能もないから」
ニコッと笑い彼女が言う。
確かに私にはなんの才能もない、しかし彼女と仲良くできる気はしなかった。
「自己紹介してなかったわね、私はレヴィ、嫉妬の悪魔」
「わたしあすもー! しきよくのあくま!」
「「さあ、貴方の名前を教えて……?」」
怒りはあるし、こんなヤツら、名前も教えたくない……しかし体が勝手に動く。
「ひ……ひな、の」
「ふふ、名前を教えてくれてありがとう、契約成立よ!」
すると彼女が私の頭に触れ、そのまま中に入ってきた。
そして意識も少しずつ侵食されていく……
もはや体は自分の意思では動かせない。
(乗っ取られる……!)
私が絶望に沈む……その時に木々が音を鳴らす。
ザワザワと木が揺れ、悪魔が不思議がっているととてつもない轟音が森に響く。
そして目の前に土埃がまい、それが消えるとそこには……
トウマさんがいた
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