第18話悪魔と全開放

 目を覚ますと俺は暗い空間に居た。

真っ暗で何も見えず不安が募る。


 しかし後ろに気配を感じ、誰かがいる安心で一息つきそうになるが見知らぬ空間に居るということで警戒しながら後ろを振り返った。


「ん? おきたのかにゃぁー?」


 ふざけた声で話しかけてきたのは紫色の髪で、胸元が開き、無駄にセクシーな格好をする女だった。


「誰だ? ここはどこなんだ!」


 俺が問いかけると女はあっさりと答えた。


「ここはねぇー、きみのせいしんくうかんだにゃぁー」


 女が妙に伸ばして話すせいで俺は少しイラついてさらに聞き返す。


「精神空間? なんだよそれ! ていうかなんだその話し方!」


「えへへへー、じこしょうかいからするねー。

わたしはしきよくのあくまあすもー! それでー」


「私が嫉妬の悪魔レヴィ」


「わたしたちふたりでひとりなのー!」


 やはりこいつは嫉妬の悪魔だった。

しかし色欲の悪魔でもあるという。意味がわからない。


「どういう事だ……?」


「つまり二重人格」


「二重人格……?」


「ふたりでひとりなのー!」


という事だった。

 俺はまだ聞きたいことがあったがとりあえずここから出ることを優先し出方を聞くことにした。


「おい、ここからはどうしたら出れるんだ?」


「えぇー? でかたなんてないにゃよー?」


「は?」


「ここでわたしたちとずーっとくらすのー!」


 詳しく聞くと魔法適性やギフト等、諸々こちらの人と比べると才能がある俺を取り込みたいとのことだった。


 しかし急いでは無いため俺が死ぬまでこの空間で待つとのこと。


「でも、私はそれ、反対」


「えぇー、どうしてー?」


「こいつ、才能、ある。私、こいつ嫌い」


「でもとりこむほうがつよくなれるよー?」


「むり、こんな所で何時間も待ってられない!」


「じゃあー、しかたないね!」


 アスモが俺に対して戦闘体制に入る。


「どういうつもりだ?」


「レヴィがいやっていうからー、しんで? ね? いいでしょー?」


「無理に決まってんだろ!」


「どうでもいい、もう耐えられない……殺す!」


アスモが目の前から消える。いや、今はレヴィなのか?

暗くて何も見えないため俺は咄嗟に周りを光魔法で照らす。


 すると俺の左側から俺を鞭とナイフで攻撃しているレヴィが居た。


「く、空魔法! シールド!」


 間一髪で防ぐがシールドは割れてしまっていた。


「空属性だぞ?!」


「言ってなかった、私は嫉妬魔法の使い手。

私が使えない能力は……使えない」


「そしてわたしはしきよくまほうつかいー!」


『うごいちゃ、だめだよ?』


 その瞬間俺は身動き一つ取れなくなった。

俺が混乱しているとレヴィ?アスモ?が話しはじめる。


「このまほうはあいてにいうこときかせられるんだー!」


「そして私の魔法で私に出来ないことは出来なくなる。」


「うそ、だろ……」


「じゃー、しんでね!」


 俺に向かって投げナイフが飛んでくる。

俺が死を覚悟した時……なにかの声が聞こえた。


『ねえねえ、こんな所で死ぬの?』


(うるせぇ、俺はまだ死なねぇよ!)


『でもこっからどうするの?』


(誰か知らねえけどだまって……ろ……?)


 そう、声がしているのだ、しかもいつまで経っても投げナイフは俺に届かない。


 よく見ると投げナイフは空中で止まっていた。


(これは一体……)


『ねえねえ、どうするの?』


(お前がしてるのか……?)


『これ? まあうん、そうだけど?』


(何故俺を助けるんだ?)


謎の声は笑いながら言う。


『そりゃ折角力与えたなら有効活用して強くなって欲しいし? まだ死ぬには早いよ! もっと楽しませてよ!』


 声は俺に力を与えたという。

俺はその一言でこいつが俺のギフト関係だと分かった。


(おい! まだ死んで欲しくないならどうすりゃ生き残れるか教えろよ!)


『なんでそんな上からなの……? まあいいけどさ!』


声は話す。


『今は声とか出せないけどステータスとかはいじれるから〜、それで就ける職業は全部の職業ついちゃお!

で、僕が君のギフトを少し解放してあげちゃう! それで多分何とかなるんじゃないかな?』


(なるほどな、マジで頼むぞ天の声)


『天の声? 僕のこと……? うげぇ、センスなーい』


(うるせぇ! やるぞ!)


 俺はステータスを弄る。

そして……


『じゃ、時間動かすよー』


(あぁ、あの悪ガキは躾してきてやる!)


『時間〜、時間〜、出発進行ー!』


 時が動き出す……俺は即座に投げナイフを弾く。


「何? 絶対仕留めたと思ったのに……」


「どういうことー?」


 俺は不敵に笑う。


「覚悟はいいなお前ら……マジックフォース!」


―――キラキラキラキラ


 俺が叫ぶと、4色の光が俺から溢れ出る。


「いくぞ!」

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