妖 春夏秋冬

真留女

妖 春夏秋冬

物置に目のみ光りて孕み猫

夕闇に官女さざめく雛売場

息果てし犬にかぎろひたちのぼり

老桜に耳押し当てて鼓動聞く

日の暮れて池に数珠子の蠢ける


河童忌や沼の波紋の迫りくる

壁を這う影一つ増え走馬灯

火蛾燃えて百物語闇に落つ

結界や枝に虚ろの縄の蛇

流灯に人魂添いて闇に消ゆ


胡桃割る雨を理由に来ぬ男

塀沿いに影立ち上がる秋夕陽

月白や闇より湖の生まれ出ず

竜田姫終の一葉をくれなひに

花野行く妻といふ名を今日捨てて


つま先の薄桃に見ゆ雪女

あざやかに食われし平目の骨頭

鱈場蟹梁を見つめて宴待つ

聞き慣れぬ訛り恐ろし雪女郎

狐火や捨てた女が微笑んだ

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妖 春夏秋冬 真留女 @matome_05

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