第183話
「鈴田さん! そいつがボスです!」
背後からレイネリアの悲痛めいた叫びが聞こえる。
やはり、こいつがブラックブレードマンティスか。
まがまがしい魔力を纏ったそいつは、無理やり俺の首を刈り取ろうと力を込めてきたが、俺もそれに呼応するように魔力を高めていく。
俺の魔力に気づいたブラックブレードマンティスは、口を大きく開き、何かを吐き出した。
「ちっ!」
俺は即座に横へ飛んでかわすと、俺の背後にあった地面に吐き出された液体が当たる。
瞬間、地面が溶けた。
……酸でも吐いたのだろうか? 面倒な魔物だ。
ブラックブレードマンティスがじっとこちらを見てから、いらだったように叫んだ。
「我の部下たちを散々蹴散らしてくれたな」
「おまえがかくれんぼしてたのが悪いんだからな? 俺のせいにしないでくれるか?」
「黙れ。雑魚の人間が」
短く言い放ったブラックブレードマンティスが踏み込んできた。
速い。
一瞬で距離を詰められ、両腕の刃が迫る。
それらを寸前まで引き付けてかわす。
連続の斬撃。……刃ではない部分に当たっても相当な打撃になりそうな連撃が振りぬかれるが、当たらなければ意味がない。
「……っ!」
ブラックブレードマンティスが大きく両腕を振りぬいてきた。
それを俺は掴んで受け止める。
再びブラックブレードマンティスが口を開こうとしたのに合わせ、俺は魔力を放出した。
「……がっ!?」
ブラックブレードマンティスの体が俺の魔力によって押しつぶされていく。
必死に抵抗しようとするが、ブラックブレードマンティスの抵抗に合わせて出力を上げていく。
「……貴様……っ!?」
「さっきと同じ攻撃ができると思ったか?」
……さすがに、すさまじい抵抗力だな。
がりがりと魔力が削られるので、さっさと次の攻撃をさせてもらおう。
思い切り足に力を籠め、起き上がろうとしていたブラックブレードマンティスの顔面を蹴り飛ばした。
気分はサッカーボールでも蹴るような感じ。
鉄なんて目ではない頑丈さだ。
ブラックブレードマンティスは近くのビルの残骸まで吹き飛び、激しい音を上げながら瓦礫へと突っ込んだ。
パラパラと落ちる破片の雨を受けながら、ブラックブレードマンティスはちらとこちらを見てくる。
結界の外からは歓声があがるが、ブラックブレードマンティスの魔力反応はまだまだ元気だ。
「シャアアアア!」
ブラックブレードマンティスがいらだったように雄たけびをあげると、瓦礫を吹き飛ばしながら魔力を放出した。
先ほどの俺の攻撃を真似るかのような動きだ。俺の体を殴りつけるように魔力が襲ってきたが、こちらも魔力をぶつけて払いのける。
それにしても、頑丈だ。かなり力を込めて殴ったのだが、今のを耐えてくるか。
ブラックブレードマンティスが激高とともにこちらへとびかかってきて、両腕を振りぬいてくる。
速度がさらに増している。ただ、俺もそれに合わせて出力をあげる。
俺が反応できたと分かるとブラックブレードマンティスはさらに加速する。
お互い、相手の肉体を超えるように身体強化を行っていく。ただ、俺とブラックブレードマンティスの違いは――ブラックブレードマンティスは限界を超えるようにしての身体強化だということだ。
俺は身体強化を強めながら、ブラックブレードマンティスの攻撃をかわしきり、隙だらけとなった顔面に拳を叩きつける。
だが、ブラックブレードマンティスは吹き飛ばない。その瞬間に合わせ、魔力で肉体を強化しまくっていたようだ。
俺の腕を掴んできたブラックブレードマンティスが、腕の刃を振りぬいてきた。
「死ね!」
俺の胸へと当たりそして――
「があああああ!?」
悲鳴を上げたのはブラックブレードマンティスだ。
斬りつけてきたブラックブレードマンティスだったが、その刃にヒビが入っていた。
「おまえがやっていたように相手にカウンターしていただけだぞ?」
相手の攻撃に合わせ、肉体を強化し、反撃する。
下手な攻撃をすれば、じわりじわりと自分の体へダメージが蓄積していくというものだ。
「く……っ」
ブラックブレードマンティスは、一度立て直すために距離をとろうとしたが、その手首を掴む。
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