episode4.5  霧の国その後…

さっきはアラッサスを倒した所まで読んだね。

次は、その後に霧の国で何があったのか話すとしましょうか。


「だーっ、疲れたーっ。霧が晴れたと思えば次は、ブロッケンをこの国で保護する話になっているのは何故っ?」

そうユリアがいうのに、俺も同意する。

だが、ブロッケンを保護するのには俺は賛成だ。

しかし、ユリアは分かっていない様子だった。なので少しヒントをやる。

「ユリア、この国は元々1年中美しい青空が広がっている。つまりだ、あるものが不足している。」

ユリアはあることに気付いたような顔をした。

「雨が降らないことによる水不足、それによって、作物が育たないってこと?」

そう、この国は慢性的な水不足である。そもそも、この地域は特殊な魔力により青空を維持されている。それも、人間の手ではなく、自然に発生したものであるためどうにも出来ない。そこに霧を発生、厳密には水を操る能力を持ったブロッケンが来たというわけだ。

そこまで話すとユリアはブロッケンがこの国の水不足解決に一役買うことを理解したようだった。


話をしていると、アラッサスについての情報をくれた爺さんがやって来た。

「御二方この度は有難う御座います。貴方達のお陰でこの国の慢性的な水不足が解決しそうです。」

俺はふと気になっていたことを聞いた。

「ブロッケンはイヤイヤこの国にいるわけではないんだろう?」

爺さんは嬉しそうにブロッケンが意思疎通ができるか確認し出来そうだった為、この国に居ないか聞いてみたところ役立てるなら、居心地がいいからという理由で居てくれるそうだと言っていた。


「なんだか、あっさり長年苦しんできた水不足問題が解決しちゃったね!」

きっと彼女もアラッサスを倒せて嬉しいんだろう。しかし、それ以上に水不足についてのほうが住民の話題として大きいものだから拗ねているのかもしれない。

「イーゼル。聞こえているんだけど〜?!」

おっと少し口が滑ったかもしれない…。

そんなことを零すとユリアから意外そうな声で

「イーゼルは、初めてあった日よりも柔らかくなったね。もう、出会ってから1週間以上たっている。」

だから当然かも知れないけど。そう言われた。

驚いた、そんなにも自分は柔らかくなったのかと…

だからだろうつい聞いてしまった。

自分は今、どんな表情をしている、と


「今?とっても生き生きいているわ!初めて会った貴方は世界を自分を恨んでいるようだったもの…」


それから俺は少しだけ変わった。

世界を、自分を、父親を恨むのではなく最愛の妹を探し出すために全力を注ごうと思い始めることができたのだから…


それはきっと彼女のお陰だろうとも思えるようになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る