隠キャ星夜くんとおもい紫織さん
雪見桜
プロローグ
ザーザー
「ひどい雨だな」
朝の天気予想だと晴れだったはずだが
見事に予想が外れ大雨となっていた。
「早く帰ろ」
星夜は、草刈りをやめ
山の木々たちを傘がわりにしつつ
汗と雨で濡れた髪をタオルで拭いて
軽トラに乗り込む。
「道が酷いな…そろそろ掃除しなきゃ
通れなくなっちまう」
そう言いながら落ち葉や枯れ木が落ちている
山道を慎重に走るが邪魔になる
折れた枯れ木を見つけ一つため息をつく。
「ハァ〜誰か掃除してくれないかな〜?」
無理な願いだなと思いつつ途中落ちている枯れ木を取り除き運転を続ける。
自分達か時々くる森林組合しか使わない
この道を掃除してくれる人間などいないのだから。
そんな枯れ木などを片付けながら運転していた星夜だったが峠に差し掛かった瞬間
目の前の光景に困惑し
ブレーキを踏み車を急停止させる。
「えっ?えっ?」
星夜の視線の先には、
植林により植えられた大きな杉の木々によって、雨をガードする自然の避難所みたいな場所で雨に濡れた長い黒髪の女性が立っていたのだ
…その光景は、非現実的で
神秘的に感じる光景だった。
・
・
・
トントントン
「うーんどうですかね
……うん美味しい」
お味噌汁の味を確認した
熱々のフライパンから出した
綺麗な黄色い卵焼きをまな板に乗せて
包丁で切りお皿に盛り付ける。
(慣れないキッチンでは、
料理がしにくいって聞きましたけど
そんな感じはしませんね)
そんな事を考えながら
機嫌を一段と良くした紫織は、
鼻歌を歌いながら料理を続ける。
ボーンボーン
「ん?何かしら?」
突然聞こえてきた音の方向を見ると
そこには、古びた時計があり
ボーンボーンという音は、
時刻を知らせるものだと分かった。
「時計ですか…って!?
もう6時じゃないですか」
紫織は、料理の手を止めて
鍋の火を消した事を確認した後
キッチンを出る。
トントン
「おおっ…ううん…星夜くん起きてますか?」
紫織は、わざわざ苗字から名前に言い直して
部屋の中にいるはずの
「星夜くん?…ダメだわ返事がない
もしかして、昨日ので…」
紫織は、不安に苛まれ部屋のドアに手をかける。
どうやら鍵がかかってはない様だ。
「星夜くん?」
紫織は、恐る恐る部屋に入ると
奥のベットですやすやと寝ている星夜の姿があった。
「寝てるだけ?」
少し様子を見てみるが
体調崩してるわけではなく
どうやらただ寝てるだけのようだ。
紫織は、ホッと一息ついた後
星夜の肩を優しく揺らす。
「星夜くん…星夜くん朝ですよ」
「うんん…まだ眠い」
「もう…それなら…えい」
ぷにっ…柔らかい
紫織は、星夜のほっぺたを
夢中でぷにぷにし続ける。
「うっんんなんだ…!?」
当然、その状態で星夜が眠り続ける事など
できるわけもなく混乱しながら目を覚ます。
そんな星夜に紫織は、ニコリと微笑み
「おはようございます、星夜くん」と挨拶する。
「えっ!?あっおはようございます。」
「はい…どうしたんですか?
そんなに見つめて?」
じーと見つめてくる星夜に対して首を傾げる。
「…えーと」
「ん?…あっ実は朝食を作ったんですけど
星夜くんがなかなか起きてこないから…」
「誰?」
「…は?」
紫織の笑顔は、凍りつき
…目から光が消えた。
こんにちは、読んでいただきありがとうございます。
フォローしてくださってる方や一度読んでくださった方がいたら申し訳ございません。
前書いた通り読みやすさを考え
一から話を練り直し作り直しました。
前投稿していた話の骨格は、同じなので
よろしければお読みくださると幸いです。
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